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前世は猫でしたので  作者: KAE


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ランスロットへのラブレター

王都に戻ったルーク、ランスロット、クローディア。

キンバリー領に残ったティナ。それぞれ忙しい日々を過ごしていた。エレナはティナがキンバリー領に残ると知ってすぐにティナの元に来て、ティナを支えた。


ルークは通常の国務補佐業務、事件を起こしたキンバリー家門の調査と五人の尋問の報告書のまとめ。


ランスロットは国王の指示でドミニクの取り調べと報告書の作成、ネイルロウ王国との交渉会議に向けての補佐業務、それに伴う周辺諸国への根回しと通常業務。


クローディアは公爵家の諸業務の勉強。


ティナはキンバリー伯爵領邸の内務と鳩の世話。


ティナはランスロット、ルーク、クローディアと手紙で連絡を取り合っていた。


ルークからはティナの体調を尋ね、騒ぎを起こした五人の処遇…五人は貴族籍を抜かれ家門は立て直しを図ることになったこと、サザーランド子爵夫妻が今度ウォールヒル家を訪ねてくることなどが知らされ、


クローディアからは、訪ねてきた子爵夫妻に無事でよかったと泣かれ、ティナさまに会いたがっている。と知らされた。


そして今日は、ドミニクに頼まれた鳩の世話にドミニクが使っていた部屋に来ていた。

王族が隠密だとはいえ住む部屋を、簡素と言うより質素と表現した方がしっくりくる部屋に最初は驚いた。

窓を開けて木製の鳥小屋の掃除を始める。鳥小屋は鳩達が自由に出入りできるようになっている、餌や水を交換する。四羽飼っていると聞いているが、三羽しかいない。まだ一羽帰ってきていない。全羽揃ったら領邸に移動させようと思っていた。


一段落して、誰もいない部屋で鞄から一通の封筒を取り出した。ランスロットからだった。

たくさんのランスロットからの愛情のこもった文面を嬉しく恥ずかしく思いながら、穏やかな時間の中手紙を読んでいた。

その中で、ネイルロウ王国との交渉会議はやはりキンバリー領邸で来年2月下旬に行われることになったこと。

ドミニクは非常に協力的に聴取に応じてくれていること。

その態度で国王陛下の心象が非常に良いこと。

そして、サザーランド子爵夫妻がクローディアを訪ねてきた時の食事の席にランスロットも招待され、皆笑顔であったこと。ルークの溺愛ぶりに笑いが漏れたことなどが書かれていた。



「うふふ。ランスも大変ね。私も、宿泊や滞在中の食材の準備を始めないとね」とひとり言を言いながら遠くに見える青々とした草原地帯を見ていた。


パタパタパタ…鳥の羽音がしてそちらに目をやると、待っていた最後の一羽が帰ってきたようだ。

「あら。帰ってきたのね」と鳥小屋に近寄り中を覗き込んだ。鳩の足に小さな筒がつけられている。鳩を捕まえ筒を見るそして蓋を開けたら紙が出てきた。

「伝書鳩だったのね…」と言いながら紙を広げて中を見た。

ティナは「まぁぁ!これは…なんと大胆な…」

小さな紙には〈ドミニク第三王子へ。王宮に捉えられているジェレミーを始末せよ。要人を拉致して帰還せよ。父王より〉と書かれていた。

「これは、ランスに送るラブレターになるかしら?ふふふ」ととても楽しそうに笑った。


――――――――――――


年が明けて2月に入ってすぐ。ランスロットがキンバリー領邸にやってきた。

ほぼ半年ぶりの再会だった。その間、手紙のやり取りは勿論、互いの誕生日にプレゼントを贈りあったりはしていたが。

「ティナ!」邸の玄関まで出迎えていたティナは馬車から降りたばかりのランスロットに抱き締められた。

ティナもランスロットの温もりに擦り寄りランスロットの背中に手を回して抱き締め返していた。その様子をエレナをはじめ周りの者は優しく見守っていた。


ティナがランスロットの後ろに控えている執事服に身を包んだ人物に目をやる。

「あら?あなたは…」と言い出すと、「お久しぶりです。今回は事情がありまして、このような姿で参りました」とドミニクが含みのある言い方をするので、なんとなく察したティナは「うふふ。とてもよくお似合いですよ」と笑顔で返した。


ティナはランスロットと腕を組んで邸に入っていった。

二人は和やかに久しぶりの会話を楽しむ。

「ティナ。久しぶりだね。元気にしてた?会いたかったよ」


「ランスは少し痩せた?体調はどう?私も会いたかったわ。今日はあなたの好きな鴨のローストを用意したのよ」


「それは楽しみだ」


そして「ティナ。君のラブレターはものすごく役に立ちそうだ。ドミニク殿も〈なにかあるはず〉とは思っていたらしいが、確実ではなかったのでいえなかったらしい」と耳元で小声で教えてくれた。


「うふふ。そうだったのね。だから〈世話をしてくれ〉とおっしゃったのね。今、あの子達はこの邸にいるわ。あとで案内しましょうね」と笑った。


穏やかな数日を過ごしたあと、風のない晴天の日緩衝地帯の野焼きが行われた。

夏、青々と茂っていた草が秋にはそのまま立ち枯れ、雪解けを待ち今燃えていた。枯れ草色だったところがあっという間に黒に染まっていく。

改めて緩衝地帯の広さを感じた二人だった。

その二人の後ろで、ドミニクもじっと黒に染まった広大な土地を見ていた。

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