協力者
フランツ達四人の真剣な眼差しに覚悟を決めて隣のルークを少し見上げる。
ルークは四人の顔を一人ずつ見てフッと息を吐いた。
「ちゃんと隠れて動いていたつもりなのにこんなに簡単にバレるなんてまだまだだなぁ」と私を見て苦笑いした。私も「そうね」と言いながら苦笑い。
それに釣られてその場の雰囲気が少しなごむ。
「では、お話くださるんですね」のフランツの言葉に二人で頷く。
ルークは「あまり人に知られたくないから秘密にしておいて欲しいんだけど」
「かしこまりました。今も人払いはしてありますよ。ルークさまの話は私ども四人以外は秘密にいたします」
頷くとルークは話し出した。
「きっかけは、あの馬車転落事故だったかな。本当にいきなり馬車が傾いて転がっていったのがわかったんだ。だけど僕はなぜか、説明がつかないんだけど…バランスをとる事ができた…と表現していいのかわからないが、どこにもぶつかる事がなかった。馬車が地面に叩きつけられた瞬間も記憶しているくらいだから…
ただ、叩きつけられた音を聞いた後の記憶がないんだ。きっと気絶したんだと思う。次目を覚ました時は自分の部屋のベッドの上だった。目を覚ましてから自分の体の変化に気がついた。先ずは体が軽い。動き易い。跳躍力も。それに遠くの物音も耳をすませばよく聞こえる。真っ暗なところでも問題なく移動できる。なんとなくだけどティナも同じではないかと思ったんだ」
ルークの話を引き継ぐ。
「そうね。同じだったわ。でも自分で気づいたわけではないの。ルークに高い木を登り降りするところを見せてもらったら自分もできるんではないか?って無性にやりたくなったの。結果できたけど」
「そういうわけで、何か使命とかあるわけではなく、ただ楽しくて深入りしていった結果裏庭での訓練になったんだ」
「なるほど。お二人にとってただ遊びの延長だった。ということですか」
「はい。お騒がせしました」
「…しました」
「まぁ、何かもののけに取り憑かれたのではなくてよかったです。もし取り憑かれていたら、どのようにすれば良いのかまで考えてしまいましたから」
「心配かけてごめんない」
「……なさい」
暫く逡巡した後フランツは
「今後も訓練を続けられますか?」と問うてきた。
「続けたいっ」
「…たいっ」とすかさず答える。
「かしこまりました。しかし隠密行動はいけません。お二人の能力は他人に知られると余計な憶測を呼びかねませんから。使用人達にも気付かれない方が良いでしょう、どこから情報が漏れるかわかりませんから、したがって訓練は今まで通り 夜、裏庭でお願いします。そして訓練をされている間、私とポール交代で監視に当たります。誰かに見られると厄介なので、異常が発生したらなんらかの方法でお二人に知らせます。その時は速やかにお部屋にお戻りください」
「わかった」
「うんわかった」
マリアが続ける。「夜に裏庭で訓練。とのお話でしたので、目立たない格好の方が良いでしょう。対外的に衣装を注文すればお二人の事を不審に思う人が出てきても不思議ではありません。私が取り急ぎ動き易い黒い衣装をご用意します」
「「フランツ!マリア!ありがとう!」」
私は思わず手を合わせて感謝を表していた。
「うっ。そんなうるうるした目で見ないでください。もう相変わらずですね…仕方ないですね」とフランツが言えば、マリアも「全くです。変わりませんね。私達もですが…」と続けた。
「ポールもエレナもお二人に協力してください。くれぐれも皆には知られないように注意してください」とフランツが二人に向けて話しかける。
二人は「「承知致しました」」と返した。




