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前世は猫でしたので  作者: KAE


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見失ったクローディア

ティナは驚いた。クローディアがそんなことを言い出すとは思わなかった。

クローディアの瞳を覗き込むと、決意のこもった光が見えた。

ティナはフッと息をはいて「わかりました。ディアさまの決心を尊重します。でも、真珠の粒は必要ありません。…これを」と言って十文字のペンダントを取り出した。


「これは?とても綺麗ですね」


「これは…ペンダントに見えますが〈笛〉なんです…」話を続けようとしてクローディアがティナに向かって言った。

「もしかして…犬笛…ですか?」


「!。どうしてそれを?」


「〈家族〉になるって決めた時、ルークさまから全て聞きました。〈今ならまだ引き返せるから…〉と」


「そうでしたか…」ティナは安堵と共にルークとクローディアの信頼関係に感嘆した。


「ティナさまもこれが聞こえるのですか?」


「ええ。聞こえます。だから真珠は要りません。だから適当な間隔でこの笛を吹いてください。必ず追いかけます」


クローディアはニコリと笑って「わかりました。吹きます。あとはよろしくお願いします」


ティナは大きく頷き、クローディアの目と口を再び布で覆ってその場を離れた。


近くに潜んで様子をうかがう。暫くすると男が五人近くの店から出てきた。どうやら食事休憩をしていたようだ。ひとりの男の手にはクローディアに食べさせる為だろうと思われるパンが握られていた。

そして、夜が明けて再び荷馬車は出発した。

クローディアは時々笛を吹いて、ティナに信号を送り続けた。


――――――――――――


ネイサンは賭場の後ろの空き家にやってきた。そろそろイーサン達が到着するはずだった。

エリックとヤコブの姿はまだ見えない。

先に家に入って皆を待つことにした。


扉を開けるとそこには…

「やっと来たか、ネイサン。待ってたぞ」

ウォールヒル公爵が椅子に座っていた。

ネイサンは慌てて逃げようとしたが、ルークの「捕らえよ」の声にどこに隠れていたのか、突然警ら隊員が多勢出てきて、ネイサンを捕らえた。


「うわぁ」とネイサンは悲鳴をあげて逃げようと試みたが、あっけなく捕まった。


――――――――――――


クローディアを乗せた荷馬車は王都の入り口までやってきた。そして荷馬車は止まった。クローディアからの合図は時々聞こえてくる。


御者台の男達が荷台の男達に「俺たちはここで待ってるから、運び込む場所がちゃんと用意できているか下調べしてきてくれよ」と言った。


荷台の男達のひとりイーサンは「じゃあ、俺が様子を見てくるから、パトリックはここで見張っていてくれよ」と言い荷馬車を離れ王都の中心に向かって走って行った。


―――――――――――


イーサンは賭場の後ろの空き家に走り込んできた。

「みんな、戻った….よ」

走り込んだ先には捕縛されたネイサンが座り込み、その後ろにルークが椅子に座っていた。


「よう、イーサン。おかえり。…捕らえよ」


悲鳴をあげる間もなくイーサンは捕らえられた。


しかしクローディアの姿がない。

ルークはイーサンに問い詰めた「サザーランド子爵令嬢はどうした?」


捕まったままイーサンは「ぐっ…。王都入り口で呼びに行くのを待ってる…くっ…」悔しそうに告げた。


「案内してもらおう」とルークは冷たくイーサンに命令した。


ルークは捕縛されたイーサンに案内されて王都の入り口までやってきたが、イーサンに聞いていた荷馬車が見当たらない。


ルークはネイサンを睨み「どういうことだ?」と冷たく問いただす。


ネイサンは狼狽え「え…、いや…確かにここで…あ!」

よく見ると、王都入り口あたりの大木の前に男が倒れていた。パトリックだった。


駆け寄るが、やはりパトリックひとりが気を失って倒れているだけだった。


ルークは焦った。一体何が起きたんだ?…と。

あたりを見回す。何か手がかりが落ちていないか?…と。

ふと大木に目がいった。

大木の枝に十文字のペンダントがぶら下がっていた。そして近くの幹には今しがた削ったと思われる矢印があった。


(ティナだ!)瞬時に理解したルークは後を追うことにした。


同行した警ら隊員にパトリックも捕らえ全員同じところに留置するように指示すると

「私は、ここから別行動を取る」と皆に言い残し、ひとり矢印の方に走り出した。






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