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前世は猫でしたので  作者: KAE


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クローディアの提案

ルークは、王宮 警ら隊取調室に二人を引き摺って放り込み尋問をしていた。

殴られた顔をしている二人を引き摺るルークに警ら隊の者は驚いたが、涼しい顔で「ちょっと取調室を借りたい」と言う国務補佐官に畏怖のようなものを感じた者は少なくない。


「それで…お前達は自分の仕事がうまくいかなくなったのは私やクローディア嬢のせいだと言いたいのか?

では、聞こう。お前達はバーネット公爵が降爵になってから自分の家を守る為に努力したのか?全部公爵の後ろ盾がなくなったせいにいていなかったか?」


「……。」彼らは何も答えられない。


「後ろ盾がなくなったら、なぜ皆お前達に背を向けた?」


「うっ…。」少し心当たりがあるのかうめき声が聞こえた。


ルークは「クローディア嬢が私を懐柔したとして。お前達になんの利があったのだ?」聞いた。


「え?なんの利…?」


「はぁ?そんな事も考えられなかったのか?」ルークは呆れた声で彼らに尋ねた。


「バーネット公爵様が、ウォールヒル侯爵を味方につけたら良い事がある。と言われたので…」


「〈良い事〉とは?」


「……わかりません」

ルークはため息をつくしかなかった。



「それで、お前達の計画とはなんだ」


「サザーランド子爵の娘を攫ってサザーランド子爵から援助を…ぅ……け…ょ…ぅ……」

答えているヤコブの声が小さくなってきているのは、ルークの顔がみるみる鬼の形相に変わってきていたからだった。


ヤコブの隣からエリックが「…で、でも、王都に、連れてくる予定ですから…」


「だから、なんだ?誘拐には変わらない」ルークの怒りを含んだ冷たい声が二人を怯えさせる。


「「ひっ」」


「どこに連れてくる予定だ?それより〈誘拐犯〉はいつ向かった?」


「え。えっと、賭場の後ろにある空き家に…。イーサン達は…えっと…昨日サザーランド子爵の邸に向かいました。明後日には…」

もう、どうにも怒りが収まらないルークは徐に立ち上がった。


取調室の前では、物が倒れるような音が部屋から漏れていた。そして、静かになった時、取調室の扉が開きルークが出てきた。

そして近くにいる隊員に「部屋にいる奴らを平民と同じ留置所に入れておいてくれ」と言って去って行った。連行する為に部屋に入った隊員は床に伸びてる二人を目撃した。


ルークは(今日、ティナは馬でサザーランド子爵のに向かった。どうか間に合ってくれ)と祈る思いだった。


――――――――――――


ティナは後一歩で間に合わなかった。

サザーランド子爵邸を出て、馬を走らせ、街外れまでは来た。しかしどちらに向かったのか分からなかった。太陽は傾き夕焼け空に変わってきていた。


焦るティナに何かが夕日に反射してキラリと光っているのが見えた。

近寄ってみると、真珠の粒が落ちていた。


「これって…」真珠の粒を拾った道の先を見ると少し離れたところにまたひとつ光っている。

「ディアさま…」ティナは真珠の粒を拾いながら後を追った。


――――――――――――


クローディアは荷馬車に押し込められていた。


家に誰か来たようなので対応しようと扉を開けた。迂闊だった。

いきなり腕を引っ張られ、家から引き摺り出されたと思ったら、荷馬車に押し込められ、口と目を布で覆われ、手足を縛られた。そしてそのまま転がされている。幸いだったのは手の拘束は体の前だった。


背中の方で話声が聞こえてきた。男の声だ。

どこかで聞いたことのある声。必死で思い出そうとしていた。

ガタゴトと荷馬車が揺れ出した。街から出てしまったとすぐに理解した。

揺れた弾みでクローディアの体が跳ねて荷台の端に転がった。冷たい空気がクローディアの顔を撫でた。

どうやら隙間風が入ってきているようだ。

咄嗟にクローディアは今、身に着けている真珠のネックレスを引きちぎった。きっと後ろからはクローディアの髪が邪魔をしてネックレスが外れたことは気づかないだろう。

両手に真珠の粒を抱え、一粒ずつ荷台の隙間から落とした。(誰か気づいて!)と祈る気持ちで。


―――――――――――


夜になり、荷馬車の進行は止まった。


御者台の男達が荷馬車の中にいる男達に声をかけてきた。「今日はここで一旦休憩だ。降りろ」と。


荷馬車の中にいた男は「こいつはどうする?」と聞くと

「暴れられても困る。そのままでいい」


そう言って、御者台の男達と荷台の男達は荷馬車から離れて行った。静かになった。クローディアは心細くなったがどうしようもなかった。

うずくまっていると「ディアさま…ディアさま」とティナが囁く声がする。気のせいかも…と思ったが、優しく抱き起こされたので、やっと現実だと理解した。


目と口を覆っている布が外され、目の前には黒い服を着たティナがクローディアを支えていた。


「ティナさま!」と声を出して、ティナが「しーっ」と自分の口に人差し指を添えた。

クローディアはコクコクと頷き、再びティナを見た。

心の底から安堵した。すると妙に落ち着いてきた。


「さぁ、逃げましょう」と言って手足の拘束を外そうとする。


「待って。ティナさま」


「?」


「犯人はなんの目的で私をこんな目に合わせているのでしょうか」


「?」ティナはクローディアが何を言おうとしているのか分からない。


「荷台に乗っていた男達は、きっとバーネット家門の者です。このまま逃げてしまったら、あの男達はまた同じようなことを考えるのではないでしょうか?

ティナさまは真珠を追いかけてきてくださったんですよね?目的地に着くまで真珠を落とし続けます。追いかけてきてはもらえませんか?」




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