お守りのペンダント
〈イーサン•ユーグ〉
〈エリック•ワイルズ〉
〈パトリック•シュミッツ〉
〈ネイサン•ハーヴィー〉
〈ヤコブ•カウンディ〉「以上5名です。ミドルネームは省きました」とルークはランスロットにその名簿を差し出した。
そして、二人は「今できることをやろう」と確かめ合ってランスロットは部屋を出ていった。
翌日の午後。ティナはいつも通り、エレナとポールを伴って王宮執務棟の警備兵に挨拶をしていた。
最近ウロウロしているご令嬢はいなくなったらしい。
「まぁ。それはよかったですわ」と談笑をして棟内に入った。
ランスロットの部屋に行き、いつもの儀式をして宰相室に顔を出して、ルークに声をかけ、ポールとエレナに焼き菓子を配ってもらう。そしてルークがくる前、二人きりになった時ティナはランスロットに向かって
「今日はランスにプレゼントを持ってきたの」と言って十文字のペンダントを差し出してきた。そのペンダントは丸い水色の宝石から四方に光が放たれたように金の台座に細い水色の宝石が施されている。シンプルだが美しいペンダントだった。
ランスロットは受け取り「綺麗だね」と繁々と見つめて「嬉しいよ。ありがとう」と笑顔でティナに言ったが、ティナは少し緊張しているように笑ってる。
いつもと違うティナに「どうした?」と聞くと、ティナは意を決したようにランスロットに話しかけた。
「これは、笛になっているの」
よく見ると、細い笛に装飾を施したことがわかる。
「へぇー。よくできているね」
「ランスが吹いても、ランスには聞こえない笛なの。だけど私にはあまり遠くでなければ聞こえるの。ランスに何かあった時その笛を吹いてくれれば、私はあなたの居場所がわかるの。お守りに持っていて欲しくて」
ランスロットは一瞬目を見開いたが「わかった。僕のことを心配してくれて嬉しいよ。この笛を吹くことがないように気を引き締めるよ。もし、なにかあった時は力の限り吹き続けるよ、ティナに会う為に」
不安そうにティナはランスロットに聞いた。
「気味悪くない?」
ランスロットは優しくティナを抱き寄せて「なぜ?僕のことを心配して秘密を打ち明けてまで贈り物をしてくれるティナをそんな風には思えない。また新しい〈顔〉を知ることができて嬉しいよ。それと、また一段とティナのことが愛おしくなった。ここが執務室でなければ押し倒していたかもしれないな。ふふ」
それでも不安そうに「本当に?」とティナはランスロットの顔を見上げる。
「なんなら、ここでできる最大限の証明をしよう」と言うと同時にティナに深く口付けた。
「愛しているよティナ。君のどんな〈顔〉を見たとしても僕は君のことを愛している。覚えていない?前に〈ティナのどんな〈顔〉を見ても驚かないことにした〉って言ったことを」
その言葉を聞いてホッとしたティナは「ありがとう」と微笑みながら一筋涙をこぼした。
「ふふ。ティナは時々可愛いな」と抱きしめながら優しくティナの頭を撫でた。
ランスロットは「ティナからのプレゼントだ、ティナに着けてもらいたい」と言って少しかがんでティナにペンダントを手渡した。
ティナは受け取りランスロットの首に腕を回してペンダントをランスロットの身につけた。
目線の合った二人は額同士をつけてクスクス笑い合った。
コンコン。と扉をノックする音がして、二人は離れ扉を見る。ランスロットが「どうぞ」と言うと扉が開いてルークが「失礼します」と入ってきて、二人の様子を見て「何またイチャイチャしてー」と憮然として言った。
ティナは「暫しの別れを惜しんでいただけよ。ルークは私にそんなこと言えるのぉ?」とニヤニヤしている。
「あー、それは…よろしく頼むよー」と真面目にティナに言っているのを見てランスロットは「暫しの別れ?ティナ、どこかに行くの?」
「ディアさまにもペンダントを渡さなきゃいけないし、ディアさまの護衛の選定に時間がかかっているから、とりあえず私がそれまで側にいようかな?と思ってね」
そう言いながら、ディアの護衛に女性騎士を希望していて、選定が遅くなっていることをランスロットに伝えた。
「ははは。男性は側に置きたくないって、嫉妬?クックック」とランスロットは笑う。
「ふんっ!どうとでも言え!」ルークの態度に二人は笑った。
ひとしきり笑ってティナは「では、今から護衛に行って参りますね!」と言うと、ランスロットはティナに近寄り「気をつけて、いってらっしゃい。僕も明日には領地に行ってくるよ」と言いながらハグしてきた。
「え?領地に?」
「ああ。ドミニクの足取りを探しに…ね」
「ランスも気をつけてね。いってらっしゃい」とランスロットの頬にキスをした。
そしてルークはバーネット家門の五人の調査を続ける。
三人はそれぞれの行動を開始した。




