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前世は猫でしたので  作者: KAE


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ジェレミー•ダン•ネイルロウ

ジェレミー•ダン•ネイルロウはネイルロウ王国の第二王子として生まれた。

父はネイルロウ王国国王。母は側妃だった。

ジェレミーには義母兄、正妃が産んだ第一王子カイルがいた。

しかし幼いジェレミーは家族の事情など理解できずに、ただ母に愛されて育った。


年に数回会う兄や兄の母には特に相手にされることなく、兄弟の間には溝があった。

成長するにつれ、その理由もわかり、ジェレミーも敢えて兄や兄の母には近づかなかった。

母が生きている時はそれでもよかった。

ジェレミーが18歳の時母が亡くなった。

異母兄は既に王太子の地位についていた。

母が亡くなると、ジェレミーの周りにいた人がどんどん減っていった。最後は乳母だけになり、毎日の食事にも困るようになった。

上辺だけは〈王子様〉と周りは言うが、裕福な平民の方が良い生活をしていた。そのことを知ったのは、このままでは乳母も痩せ細って命を縮めてしまうと思い、王宮を抜け出し働きに出てからだった。

力仕事をして日給を稼ぎ、なんとか食い繋いでいた。

乳母もジェレミーの為に母のようにジェレミーの世話をした。ジェレミーに再び訪れた幸せだった。

しかし心の奥底では義母兄との差を認められない自分がいた。〈なぜだ〉と。


20歳の時に父王が死んでさらに状況は悪くなった。

正妃に父王殺害の汚名を着せられた。完全な濡れ衣だった。王宮の誰もがわかっていたが、ジェレミーを庇う者はいなかった。命の危険を感じたジェレミーと乳母は王宮から逃げた。いろんな国を渡り歩き追っ手から逃げた。国を出てから10年が過ぎた。気がついたら祖国の隣国にいた。ヴェルタリス王国はネイルロウと全く違った。皆が日々笑顔で過ごしていると感じた。他国でも人々は笑顔だったが、ジェレミーを受け入れてくれそうな気がしたのはこの国だった。今までになくこの国で過ごしていた。

仕事で資材を王都に運搬していた。馬の扱いは幼少期から慣れていたので、その腕を見込まれ事業者に雇われていた。

ある日仕事で王都に向かっている時、興奮した馬に手を焼いている初老の男性に会った。

ジェレミーは馬を宥め、落ち着かせてその男性に引き渡した。その男性こそ先代バーネット公爵だった。

先代公爵はすぐにジェレミーだとわかったようだ。「父君によく似ている」と。ネイルロウでの騒動も知っていた。「私がまだ王宮に住んでいた頃にあった騒動だからね、情報は入ってきていたよ」と話してくれた。そして「ウチで働かないか?」と持ちかけてくれた。名前も「今日から君はジミー•ロウだ」とつけてくれた。乳母と二人公爵邸別邸の近くに移り住み侍従として働き始めた。日々穏やかに過ごせるようになった。乳母は「もう、大丈夫ですね」と言って静かに息を引き取っていった。母の死よりも辛かった。

数年後、先代公爵も亡くなり、別邸執事のカールも体調を崩して、事実上ジミーが別邸を管理していた。

そんな時、男がジミーを訪ねてきた。ネイルロウからの使者だと言った。「ジェレミー殿下」と男は呼びかけたが、ジミーは「そんな奴は知らない」と突っぱねた。しかし使者は「陛下からの親書です」と手紙を置いていった。何度も封を開けていない手紙を突き返しても、諦めずに置いていった。

彼の根気に負けて、とうとう手紙を読んでしまった。

手紙には〈守ってやらなくてすまなかった。父王は病で死んだが受け入れられない正妃がジェレミーのせいにしてしまった。当時正妃の言葉には誰も逆らえず濡れ衣を着せてしまうことになってしまった。今は皆本当のことを知っている。帰ってきて私の片腕になって欲しい〉そんなことが書かれていた。信用できなかった。

しかし、使者は何度も親書を携えやってくる。

ある日、使者は、祖国の現状を話し出した〈祖国は今過去にないくらい困窮している。陛下は今、殿下の力をお借りしたいと、弟が困っている時助けられなかった自分が言えた義理ではないが、困窮している国民をどうにかしてやらないとならない。〉と。

ジミーはその使者に聞いた。「どうすれば国民はその困窮を脱することができるんですか?」と

その使者は「我々には力があると周辺国に知らしめることができれば、貿易も足元を見られずに済むはずです」さらに「陛下は国が安定の兆しを見せたら今度は一緒に内政問題を解決していきたいとお考えです」と言った。

そこからジミーは名をカールと名乗り現バーネット公爵に取り入っていった。

そして、上手くいくと思った矢先、この事件が表面化し、バーネット公爵が幽閉され、ジミーも捕縛され、国境警備が厳重になった。

おそらく使者も祖国には帰国できなくなっているだろう。

使者の名は〈ドミニク•ヤックス〉


――――――――――――


ランスロットの話を聞いて、なんともいえない苦い顔をしたルークは「騒ぎを起こすとしたら、その〈ドミニク〉でしょうか?」と聞いた。


ランスロットは「ドミニクにも数人部下がいるそうだ、注視しなくてはいけないのは、ドミニクとその部下達だ。ただ、ジミーも部下達の顔は知らないらしい。ドミニクの顔は専門家がジミーの話を聞いて〈人相書き〉を描いてくれた。これがそうだ」と机に広げた。


特段、美男子ではなく醜男でもなかった。特徴といえば、〈赤い髪〉〈右目尻の黒子〉と〈左顎下の大きな黒子〉くらいだった。

「僕はこのドミニクの行方を追う」とランスロットが言うと、「では、僕は困窮している5軒の家の者が誰と接触しているか調べましょう。彼らの名前と屋敷の所在はこちらです」と名簿を出してきた。

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