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前世は猫でしたので  作者: KAE


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ランスロットとジェレミー

ランスロットは王宮地下牢にいた。地下牢にくる前、宰相と共に国王の執務室に寄った。そこでランスロットが疑問に思っている事を述べた。国王はランスロットの考えに理解を示し、「任せる」と信任をもらった。

光が殆ど届かない地下牢独房には固い木のベッド、木の机と椅子以外家具らしきものはない。

ランスロットの目の前。鉄格子の向こうにはその独房に収監されているカール…ジェレミーがいた。

足を組んで椅子に座り、机に片肘をついて不貞腐れたように横目でランスロットを見ていた。


「はじめまして…かな?ジェレミー•ダン •ネイルロウ。いや、確か君は王族ではなかったな。なんと呼ばせてもらおうか?」とランスロットはジェレミーに問いかける。


「…なんとでも呼べばいい」かわらず不貞腐れている。


しかしランスロットは対話のきっかけが掴めてホッとした。

「…では、本名であろう〈ジェレミー〉と呼ばせてもらおう」


ジェレミーの反応はない。


「ジェレミー。なぜバーネットに反逆を唆した?真っ当に優秀な執事を務めていれば、ささやかながらでも幸せに人生を送れたのではないのか?」


「………。」


「〈ジミーがカールを亡き者にして成り変わった〉のかと思って調べたが、カールは病死だった。そしてジミーは有能な侍従だった。不思議でならない」


「………。」


「なぜジェレミーが動き出すのに10数年もかかった?もしかしてジェレミーはバーネット公爵家の優秀な侍従で過ごしたかったのではないのか?」


「……。」


「なぁ、ジェレミー。お前はこの国で穏やかに暮らしてたんじゃないか?ジミー•ロウとして」


「………。」ジェレミーは何も言わないが、視線が下を向いた。


ランスロットは「これからひとり言を言うから聞き流してくれ」とジェレミーに背中を向けた。

そして徐に話し出す。

〈お前は気の毒な奴だと思うよ。本当は平和に暮らしたかったのに、突然巻き込まれて。お前の計画は見事だったよ。参謀に欲しいくらいに。あくまでも〈執事〉として存在し、ギリギリまで自分の足跡を見せなかった。そしてかなり祖国に貢献した。なのにこの仕打ち…。お前の存在をないものとした。優秀な人材を軽んじるネイルロウはお前にとってそんなに大事か?」


「……。」


「上を見てみろよ。光が漏れてきているだろう?あそこで生きてみないか?私はお前の真実が知りたい。場合によっては光の下に帰れるぞ」


その時「ぐっっ…」と、堪えきれずに漏らした声がした。

ランスロットが振り返ると、握り拳を震えさせて何かを堪えているジェレミーがいた。

ランスロットは何も言えなかった。何かを堪えているジェレミーがあまりにも痛ましかったから。


「俺は、認められたと思ったんだ…」拳を握りしめ、机を見つめながらジェレミーは呟いた。


今度はランスロットが黙る番だった。


「先代旦那様は俺の出自を知っていた。知っていてジミー•ロウとして雇ってくださった。〈立場は違うがお前のことは理解できるから〉って。なのに、あいつが使者を送ってきて…くそっ」


ランスロットはジェレミーの独白を黙って聞いていた。


ひと通りジェレミーのは話を聞いたランスロットはジェレミーに向かって言った。

「俺もお前にいろいろ思うことはある。しかし、懸命に生きてきたお前へのネイルロウの仕打ちはそれ以上に無常だと感じる。お前を地下牢から刑務所へ移監する。そのあとのことはお前次第だ」


そしてランスロットは地下牢から出ていった。

翌日、ジェレミー•ダン•ネイルロウはジミー•ロウとして刑務所に移監された。

日に一度外に出て自由時間がある刑務所へ。

ジミーは日に一度外に出て空を見上げるのが習慣になった。

その後の事情聴取にも素直に応じた。


――――――――――――


ジェレミー•ダン•ネイルロウの独白を聞いたランスロットはその事を国王と宰相に報告し、今はルークとお互いの情報を共有する為にルークの執務室にいた。


まずルークの方から話し出した。

「旧バーネットの家門だった殆どの者は厳しい立場になっています。しかし、地道に頑張って立て直しを図っている者が多くいました。しかし5軒の家が建て直せないままかなりの困窮状態で酒に逃げている者もいます。その5軒に絞って調査を進めています。それから万が一のことを考えて、ランス殿も含めた我々8人にある物を配るべく準備しています」


「ある物?」


「はい。詳細はティナに聞いてください」


ニヤリと笑ったランスロットは「へぇー。楽しみだ。次は何が起きるのかワクワクするね」と笑った。

そして、「次は僕の報告だね」と言って〈ジェレミー•ダン•ネイルロウ〉の自白を話し出した。


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