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前世は猫でしたので  作者: KAE


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婚約

お読みいただきありがとうございます

今日は少し早めに投稿します

その後ルークとディアは皆の生暖かい視線に見守られながら交際を続けていった。

ルークは相変わらず忙しかったが、時間の許す限りディアと時間を共にした。

執務棟の職員は二人が一緒にいるところを時々目にするので、自然と二人の仲を理解してくれた。

時にはティナが大量の差し入れを経理部にもしてくれるので、公爵家の焼き菓子の魅力も二人を理解してもらうのにひと役かっていた。

理解していないのは執務棟の外でウロウロしているご令嬢くらいだった。


そして今夜、四人は連れ立って今期最後になるであろう夜会に出席していた。

ティナとランスロットは、〈ノートンの絹〉の宣伝の為に。

ルークとディアは、夜会経験の少ないディアに夜会に慣れてもらう為と、二人の交際を表明する為に。


会場にいた紳士淑女は滅多に夜会に顔を出さないルークがティナではない女性をエスコートしているのに驚いた。そして二人の仲睦まじい様子に〈もう、自分の娘は売り込めない〉と悟った。

諦めきれないご令嬢は、ディアがひとりになった時を狙ったが、ルークが片時もディアから離れずディアを攻撃できずにいた。


会話を楽しみ。少しお酒を嗜み。ダンスをして、いつもと違った時間を二人は楽しんだ。


ルークとディアはティナ達とは別に帰宅の途についた。今夜は遅くなるので、公爵邸に泊まることになっている。風が心地よい初夏の夜だった。


「少し寄り道をしよう」とルークが提案し王都の街が見える小高い丘に来た。吹き抜ける風が気持ちよかった。二人は手を繋ぎ広場にきて、街の夜景や夜空に浮かぶ月を眺めていた。

ディアが「ふふ。今日は星がよく見えて綺麗な夜空ですね」と見上げている。


ルークはそんなディアの顔を覗き込み「ああ。綺麗だな」と言った。


ディアがクスクス笑いながら「夜空ですよ?」と空を指差す。


「ディア。ちゃんと伝えていなかったけど、僕はディアのことが好きだよ」


ディアはルークの目を見たまま固まる「……」何も言えないまま瞳に涙が溜まってきていた。


「ディアには随分失礼な態度をとってきたけど、それは本当の君の姿を知らなかったから…。パン屋の二階で努力する姿に惹かれた。いつも笑顔で頑張る君から目が離せなかった。全てが終わった時君もいなくなって、初めて気がついた。君のことが好きだったんだと。君を見つけた時どんなに嬉しかったかわからない。ねぇディア。君が前を向いている姿を側で見ていたい。僕と結婚して欲しい」

そう言いながらルークはディアの前にひざまづきポケットから小さな箱を出す。

中には大粒のダイヤモンドの周りを水色と青の小粒の宝石が取り囲んでいる。ルークとディアの瞳の色。


ディアは涙でぼろぼろだが、懸命に声を出した。

「わ、私は…ルー…クさま…や…テ…ティナさ…まに、会えて、か…かわ…れたんです。最初の…わ…私が、本当の私…だった…んで…す。…あなたのおかげで…ど…努力することを…お…教えていただきました。これからも…前を向くと誓います。側で見て…いていただ…けますか?」


ルークは立ち上がりディアを抱きしめた。

「勿論だとも。二人で前を向いて生きていこう」

ディアはルークの腕の中で何度も頷く。


ディアから少し離れたルークはディアの手を取り薬指に指輪をはめて「愛しているよ。ディア」と言って初めてディアに口付けた。


そして二人はまた見つめ合う。ディアも泣き顔のままルークの瞳を見つめ「私もあなたを愛しています。これからもずっと」その言葉が終わるや否やルークはディアをきつく抱きしめた。月が二人を見守っていた。


――――――――――――


ティナはサロンで資料を読んでいた。ランスロットから渡された新居の資料だった。

そこへ、カチャリと扉が開いて、ルークとディアが帰ってきた。フランツも後ろにいるが、妙にニコニコしている。しかし一番気になったのがディアの顔。

泣き腫らして、目も腫れてる。

ギョッとしたティナが「ディアさま!一体ど…」と言いかけて違うところに目がいった。

ディアの薬指に指輪が光っていた。


「ええ?」とルークを見る。嬉しそうに笑ってる。

ディアを見る。泣き腫らしてはいるが、照れくさそうにしている。もう一度ルークを見ると笑顔で頷いている。理解した。

「キヤーッ!おめでとう!嬉しいわ!」とディアを抱きしめた。

ディアも「ありがとうございます」と言いながらまた目に涙を溜め出した。もう一度抱きしめようとしたらルークに取られた。

「もうこれ以上泣かすな…ふふ」と自分の懐にディアを隠す。


「ルークが泣かせたんでしょ…ふふ。でも本当に嬉しいわ。ありがとうルークをもらってくれて」


「ティナ。失礼だよ」怒った声を出すが顔は全然怒ってない。


「エレナ!マリアとポールも呼んできて」


「かしこまりました!すぐに」


その夜、ルークとディアは皆の祝いの言葉に囲まれた。


ルークとディアは話し合ってディアは王宮職員を辞めてウォールヒル家の執務に専務することにした。


翌日、二人は始業前に経理部を訪れ、ディアの退職希望を伝えた。ディアの退職は祝いの言葉と共に了承された。

職場の同僚達に見送られ職場を後にした。


同時に宰相にも婚約の報告に向かった。

宰相も喜び心から祝いの言葉を二人に送った。

その側にはランスロットもいた。ランスロットは既に二人の婚約を知っていた。

ルークが「耳が早いですね」と言えば、

ランスロットが「昨日、ティナから聞いた。嬉しくてじっとしてられなかったらしいよ。ふふ」

ルークは相変わらずなティナの行動に呆れた。






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