新しい関係
お読みいただきありがとうございます
今日は少し早めに投稿します
「ティナーリアさま…」
「その前に、私のことはどうぞティナと呼んでほしいわ」とティナはクローディアの知らないティナの顔で笑った。
「ティナさま。ありがとうございます。私のこともディアと呼んでください。皆さまも是非…」と言うと、それぞれ口々に
「ディアさま、ありがとう」
「ディアさんだね。僕のことは是非ランスと呼んでほしい」
「ディア。だね、わかったありがとう」とクローディアに伝えてきた。特にルークは嬉しそうだった。
少し和やかな空気になったところでティーセットが運ばれてきた。皆、それぞれお茶を口にして落ち着く。
再びティナが話し出す。
「今回、ディアさまにはどんなに助けられたかわからないわ。家族全員あなたにとても感謝しているの。
改めて感謝を伝えさせて欲しいの。心からありがとう」
ディアは「いえ。元はと言えば我が家門の者が皆さまにご迷惑をおかけしましたので、感謝なんてとんでもない」と言えば
「いいえ。あれは、傀儡にされた伯父様の単独犯行よ。あなた達にはなんの関係もないわ」
「傀儡?」
「ふふ。それ以上は家族になってくれたらお話しするわ」
また〈家族〉と思ってルークを見れば〈ね〉とばかりにディアに向かい笑ってる。
「だから、叔父様は降爵され体調を崩して医療施設に行かれたの。ディアさま達のおかげで終わらせることができたわ。それにルークを、ルークの命を助けてくれた。何よりありがたいことだったのよ」と
ティナの心からの言葉が伝わりディアは素直に「少しでもお役に立てたのならよかったです」と気持ちを伝えた。
「ふふ。少しだなんて…ものすごくなのに…。
でも、全て終わったわ。だからディアさま。私達はあなたと新たな関係を築いていきたいの。〈家〉ではなく〈個人〉的に…どうかしら?」
ディアは素直に嬉しかった。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」と気持ちを伝えた。
「ふふ。よかったわ!ありがとうディアさま!あ、食事が来たわ!今日は皆でゆっくりしましょ!」
そして、和やかな雰囲気の中で食事が始まった。
ちょうど夕日が木立を照らしとても綺麗な夕景だった。ディアはその景色に気を取られ「綺麗…」と呟いた。隣に座っているルークから「ああ。綺麗だ」と声が聞こえたので振り返るとルークはディアを見ていた。
前から「ふふふ。ルークもそんなこと言うのねー」と揶揄う声がした。するとティナの隣で「いや。本当に綺麗だよ」とランスロットはティナを見てそう言った。
ティナは「もうっ!恥ずかしいでしょ!」と照れながらむくれた。
ランスロットはそれを見て本当に嬉しそうに「あはは。ティナは時々可愛いな!」と頭をクシャクシャと撫でると
「もう!髪が乱れるでしょ!」とランスロットの手から逃れていた。
その光景を見ながらルークが呆れたように言う。
「まったく。堂々とイチャイチャしやがってー」
「あら。ルークも堂々とイチャイチャすれば良いのよ。ここは誰も見てないわ!ね、ランス!」
「あははは!そうだな。遠慮はいらないぞ!こういう所じゃないと気は抜けないからね」
クローディアの三人のイメージがガラガラと音を立てて崩れていった。きっとこれが彼等の本当の姿なのだろう。急に親近感が湧き、クスクス笑い出してしまった。
「クローディアさまはとても可愛く笑うのね!ふふ」
その言葉に「いいえ、きっとそんなことはないですよ。これから私の素の顔をお見せすることになると思いますが驚かないでくださいね」と言うと
ルークが「楽しみだな」と笑った。そして皆もつられて笑って、時々笑い声が漏れる楽しい時間が過ぎていった。
この個室はかなりゆったり作られていて、大きめのダイニングテーブルが置かれたその先にソファセットが置かれ暖炉が設えられている。
食事の後は皆、ソファに移りお茶を楽しんでいる。とてもゆったりした時間がそこには流れていた。
ルークがディアに声をかけた。
「ディア。少し外の空気を吸いに行かないか?」
「え?でも…」
「あら。いいわね!私達は新居の相談があるから、どうぞ…ふふ」とティナが援護する。
ルークはディアをエスコートしてテラスに出た。
そして「ディア。新しい関係を築くことに賛成してくれてありがとう。過去にはいろいろあったかもしれないけど、僕は前を向いていきたい。ディアも僕のこと前向きに考えてくれないだろうか?」
ディアは夢を見ているかのようだった。絶対共にいてはいけないと思っていた人だった。格が違うと思った人だった。なのに今彼は私を見てる。自然と涙が出てきた。止めようとしても止められなかた。
そんなディアをルークは優しく抱きしめた。
「その涙は〈イエス〉と思っていいのかな?」と優しい声でルークが尋ねると、腕の中のディアは顔を両手で覆ったまま何度も頷いた。
「ふふ。よかった。ありがとう」とディアに囁いた。
部屋のソファに座りそんな二人の様子を見ていたティナは「よかった…」とランスロットの肩に頭を乗せもたれかけて呟いた。ランスロットも「ああ。本当に」とティナの肩を抱いて頷いた。
四人の新しい関係が始まった。




