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前世は猫でしたので  作者: KAE


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夢の話

ルークとティナは花束を持って峠にいた。


「父上。母上。ラルフ。終わりましたよ。聞いていらしたでしょ。伯父上の企みでした。デニスが馬車に細工してました。伯父上もデニスも捕まりました。もう、大丈夫です。安心してください」


「お父様。お母様。全てが明るみに出ました。領地の事ももう大丈夫です。リチャードも捕まりましたよ。

ラルフ。ニールを連れてきてあげられなくてごめんね。でもニールは前を向いて頑張ってるわよ。いつか連れてくるわね。それからお父様。お母様。ルークを守ってくれてありがとうございます」

そう言って、持ってきた花束をそっと道路脇に置いた。二つの花束のうちひとつがバランスを崩して急斜面を凹凸に当たり時々跳ねながら一気に草むらまで転がり落ちていった。


「「あ!」」と驚いた二人だが、草むらで止まった花束を見てティナが「お父様とお母様が受け取ってくれたみたいに見えるわ」と言い。ルークは「きっと、そうだな」と言いながら二人は暫く草むらの花束を見ていた。


年が明けて少しした頃ルークの左腕の固定具が外され二人は久しぶりに夜の訓練を再開した。

初日はまず軽い運動程度だったが…そして二人は並んで木の枝に座っていた。

ひと息ついた頃ルークがポツリと話し出す。

「僕達。どうして急にこんなに動けるようになったんだろう?夜だってあかりが無くとも動けるし…って思ってたんだ。でも思い当たることがあるんだ、家族であの事故に遭った後、意識が戻るまで夢を見ていた気がする」


ティナは息をのんでルークを見つめる「…どんな夢?」


「なんかとても寒かったんだ。どこかに寝ていた感じがした。ここはどこだ?と思って目を開けようとするんだけど開かないんだ。困っていると、額にあたたかいもので撫でられた。そうしたら開かなかった目が少しずつ開いてきた、見上げると蒼い目が僕を見ていた。でもやっぱり動けなくてさ、力尽きて横になったんだ、そしたら目の前に目を瞑って寝ている仔猫が見えたんだ、震えててさ。〈大丈夫か?〉って声をかけたと思う。きっと僕の声が聞こえたんだと思うんだけどその仔猫の目が開いたんだ。見た事のあるオッドアイだった。確証はないけどこの仔猫はティナだと思ったんだ。今にも死にそうな顔してさ。だから〈ティナ!ティナ!寝るな!〉って言い続けたんだけど…」


ティナはじっと聞いていた。話が途切れたので先を促す「…けど?」


ルークは「覚えてない。夢から覚めちゃったから。気がついたらベッドの上で側にポールがいた」


ティナは自分の膝を見つめ「そうだったんだ…」と言って、二人の間に少しの沈黙がうまれた。


ティナがポツリと話し出す。

「私も夢を見たんだ。とても寒くて、目が開かなくて、誰かに声をかけられてやっとの思いで目を開けたらオッドアイだけが見えたの。だけどすぐにモヤがかかって…きっとそのまま、また目を瞑ったんだと思う」

ルークはじっとティナの話を聞いている。

ティナは続ける「そう思ったら、今度は私の周りだけ物が浮いてクルクル回ってるの、でもすぐに何かにぶつかって…気がついたらベッドの上だった」


ルークが「そうか…僕達不思議な夢を見たんだな。でも、それからだよな、こんな風に動けるようになったのは…」


「そうよね。不思議!もしかして最初は猫に生まれたけど、すぐに死んじゃって、神様が可哀想だからって生まれ変わらせてくれたのかもね!」


「…かもな!確証はないけど、夢のある話だな」


「そうね!きっとそうなのよ!そう思っておきましょう。ふふ」


「…だな!」二人は枝に座ってクスクス笑い合っていた。


「そういえば、クローディアさんにお礼を伝えに行ったの?」


「まだ…でもきっと試験ももう終わっているだろうから明日王宮の帰りにでも行ってくるよ」


「よろしく伝えてね」


「わかった」

しかし、次の日からルークは本格的な引き継ぎが始まり帰宅も遅くなっていた。


――――――――――――


「すまないね」とランスロットはルークに本心から伝える。


外交関係の専任になるランスロットはネイルロウ王国との交渉が本格化する前にルークに国務関係の事案の引き継ぎを済ませたかった。ルークも事情は承知している。

しかしランスロットはルークが恩人のクローディアに会いに行きたがっていることも承知していた。


「いえ。大丈夫です…しかし…結構な事案数ですね」


「国土が広いとどうしても領主からの陳情は多くなるよね…ハハ」

そんな会話が数日続いた。


「ルーク殿。キリがない。今日はこの辺で終わりにしよう。だいたいの事は承知してもらったはずだから、続きは急がなくても問題ないと思う」


「わかりました。じゃあ、少しまとめて私も終わります」


「そうしてくれ。はあー。じゃあ、執務室に戻るね。お疲れ様ー」と言ってランスロットはルークの補佐官室を出ていった。


ルークは急いで仕事を片付け、大量のクッキーを買い紙袋に詰めてリボンをかけて、クローディアが住むパン屋に向かった。


外はまだ明るい。この時間なら店にいるはずだと思い店の扉を開ける。

カラン〜カラン〜とカウベルの音が鳴り。女将さんの元気のいい「いらっしゃいませ」の声が響く。


クローディアは既に店を辞め、二階の下宿も引き払っていた。


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