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前世は猫でしたので  作者: KAE


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断罪の後 2

久しぶりに自分の屋敷に戻ったルークは皆の熱烈な歓迎に迎えられた。


〈お疲れ様〉

〈傷の具合はどうだ〉

〈顔色が…〉

皆ルークを取り囲み口々にルークの体調を気遣った。ルークは心から安堵した。帰ってきた…と。


ひとしきり、皆と再会を喜び、サロンに場所を移す。

マリアとエレナがお茶と菓子を用意する。


「そうだ…これ」と言ってルークは胸ポケットからティナの髪飾りを取り出しティナに返した。

「目覚めた時、一番最初に気づいたよ。皆に僕の無事が伝わってることがわかり安心した」


ティナは受け取った髪飾りを見ながら「ルークの無事を聞いた時、私お父様とお母様に感謝したわ…峠での惨状見た時…正直、無理かも…って思ったの」

他の四人は沈黙し同意を示している。


「私は、ルークさまが無事なことを知るまで、生きた心地がしませんでした。私だけが生き残ってしまった…と」そう言ってポールは肩を振るわせる。


「僕だって、〈生きて会おう〉なんてかっこいい事言いながら、あんな状態だったし、ポールの安否聞きたくても、手紙も書けないし…大怪我だったんだろう?もう大丈夫なのか?」


「はい。もう大丈夫です。迅速に処置していただきましたし、経過も良好で担当医師に〈もう、大丈夫です〉と言っていただきました」


皆のやり取りを笑顔で見ていたフランツが「ポールも、もう通常通り動けますので、明日からはルークさまの側に付かせていただきますね」と言うと

ポールも「また明日からよろしくお願いします」と一度ソファから立って頭を下げた。


「あー!なんかやっぱりホッとするなーこの感じ…。皆とお茶しながら話してる今、実感するよ〈生きて帰ってこられた〉ってね。明日から今以上に忙しくなるかもしれないけど皆よろしく頼むよ」


ルークの〈今以上〉に皆は反応する

ティナが「今以上って?今まで通りじゃなくて?」の問いにルークは報告を始めた。


「今日、王宮で、バーネット公爵達の処遇が言い渡されるって事は皆知ってたよね?」


皆一斉に頷く。


「バーネット公爵家は男爵位に降爵になった。そして公爵自身は医療施設に入院という幽閉になった。カールもネイルロウ王国から見放された、我が国の法律で裁かれる。反逆が絡んでるから無事ではいられないと思うけどね」


その処遇処置に皆は黙り込む。しかしルークは続ける。

「国王から、家族に説明するにあたって話してくれて構わないと言われたので、ここだけの話として聞いて欲しいんだけど」と前置きした上で、前国王兄弟の話をした。

「国内が乱れるのは本意ではないし、この事件を公表すれば、また巻き込まれて困った立場になる人が増える。多分、公表しなくてもバーネットが失脚した今、甘い汁をすすっていた者は困ると思うけどね。外国にも隙は見せたくないし。僕が、僕達が口を噤めば混乱は避けられるのならば…と相談もなく決断した」


ティナが一番先に口を開いた。

「国王様もルークの葛藤はわかってくださってるみたいだし、私はルークの決断に賛同するわ!難しい決断だっただろうけど、決めてくれてありがとう。ルーク」


フランツもマリアも続く。

「そうですね。少し悔しい気もしますが、ルークさまの判断は最善だったと私も思います」

「ええ。ええ。お辛い決断をなさいましたね」

ポールもエレナも頷いている。


「みんな…ありがとう」とホッとしたように言った。

そして「それとね。もうひとつ報告があるんだ…」と

ルークは〈公爵への陞爵〉と〈宰相国務補佐官の就任〉の件を伝えた。

勿論。皆の驚きはとんでもなく大きかった。

「「「「「えぇーー!」」」」」の驚きの声は屋敷中に広がった。


――――――――――――


ランスロットは地下牢の廊下を歩いていた。

ルーク達を襲った者達へ処遇を伝える為に。


鉄格子の中にその者達はいた。リーダーと思われる者は右目頭から額に向けて醜い傷跡が残っていた。

鉄格子越しにその者達の前に立ったランスロットは冷ややかな目を向けて「バーネット公爵家は没落した。お前達の雇い主はいなくなった。決定された処遇を言い渡す。〈北部、炭坑に生涯労役〉とする。以上」


「そんな…」「公爵様は俺たちを庇護してくださるのではなかったのか?だから…」口々に言い出したが、リーダーと思われる者は「わかりました」と一言だけランスロットに向かって言った。

頷いたランスロットは「本来なら、打首より残忍な刑に処される可能性があったが、捕縛されてからの供述、態度を鑑みて労役になった。決断された陛下に感謝しろよ」

そう言ってランスロットはその場を離れた。

彼の証言は、バーネット公爵が自白した事を確定させるものであった。


――――――――――


ウォールヒル侯爵邸サロン。窓の外は夜空に浮かんだ月が雪化粧をした庭園を照らしている。

サロンの窓際に置いた椅子に座ってルークとティナは月を見ていた。


「終わったね」


「ああ。終わったな」


「ルーク。お疲れ様」


「ありがとう。ティナもお疲れ様」


「ふふ。でもルークはまた忙しくするのね。よく引き受けたわね」


「今回の事で思ったんだ。もっと力が欲しいと。調べられることは調べたけど、そこまでだった。国王陛下や宰相殿がいなければ、ここまでできなかった。もしかして今頃逃亡してたかもしれない。だから少しでも力を付けたくて補佐官就任を受けたんだ」


「そうね。確かにそうだわ。皆の力でここまでこられたのね。クローディアさんにも感謝だわ。ルークの命を救ってくれた。…お礼には行かないの?」


「学院の試験が迫ってるから、終わった頃にお礼に行ってくるよ」


「そっか。それがいいわね」


「ティナ。峠に行ってみないか?父上と母上に報告したい」


「ええ。行きたいわ。ルークを守ってくれてありがとうって伝えたい」

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