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前世は猫でしたので  作者: KAE


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捜索

ティナは王宮敷地内の医務棟廊下にいた。

今はポールの処置が病室で行われている。

ティナはまだ口を引き結び一言も喋らない。そんなティナにランスロットはずっと寄り添っている。

廊下の突き当たりの扉が開いた。フランツとマリアが立っていた。肩で息をしている。ランスロットが使いをやったのだろう。

「ティナさま!」フランツとマリアが駆け寄ってくる。

ティナはゴクリと唾を飲み込み、震える声で

「フランツ、マリア。…今、傷の手当てをしているわ、命に別状はないと…」

「あぁぁー……」とホッとしたマリアが両手で顔を覆って床に膝をついた。その肩をフランツが撫でている。

フランツが「ポールを連れて来てくださってありがとうございました。それでルークさまは?」

ティナは「…」声が出てこなかった。がランスロットが代わりにフランツに伝えてくれた。

「ルーク殿は脇の急斜面を落ちていかれたようですが、発見できませんでした。必ず生きていらっしゃいます。信じましょう」


「ええ。ええ。そうですね。捜索隊を派遣します」


その時病室の扉が開いて中から医師が出て来た。

「処置が終わりました。今は眠っておられます。お会いになれますよ」と皆に伝えた。

医師に礼を言い、フランツとマリアが病室に入っていった。そしてうつ伏せで眠るポールのベッド脇に跪いていた。

その様子を見届けるとティナは外に出る為に歩き出した。ランスロットは後ろをついてくる。


医務棟の前にある大木の前までくるとティナは立ち止まった。ランスロットはティナの肩を抱き自分の方に向かせ抱きしめる「きっと大丈夫だ!探そう!」

とティナに語りかける。

ティナはランスロットの腕の中で何度も頷く。


暫くしてティナは顔を上げる。「ありがとう。もう大丈夫よ。信じてるから」と弱々しく笑った。


「送るよ。ひとりでは帰せない」とランスロットが言い、その言葉に甘えることにした。

今はランスロットの王宮執務室にいる。所々に血のついた服を着ている二人に周りの者は驚いたが見ないフリをしてくれた。

ランスロットは一旦宰相室に報告に行っている。

ひとり、ティナは膝の上で組んだ両手を強く握り締めていた。

そっとその両手にランスロットの温かい手が被さる。

顔を上げたティナはランスロットの優しい眼差しに迎えられた。

「さぁ。帰ろう」と導かれる。二人は侯爵邸に帰って行った。


――――――――――――


王宮、国王の執務室に宰相が報告にやって来ていた。

報告を聞いた国王は机に肘をつき手を組んだところに額を押し付けて「そうか…」と悲痛に声を出した。


「それで、ウォールヒル侯爵令嬢は大丈夫なのか?」

「はい。なかなか気丈な令嬢のようで、怪我人を馬に乗せ傷口を押さえながらここに運び込んだようです」

国王は少し驚いたようだが次の質問をした。

「賊は?」


「はい。ひとりはランスロットが連れ帰りました。顔に怪我をしていたので、軽く処置をして、今は牢に入れてあります。他の賊は全て回収し、それも怪我の処置をして牢に入れました」


「なん人だ?」


「全部で17人です」


「それを二人で……。ウォールヒルは恐ろしいな」


「味方にすればこれほど心強いものはないでしょう。今までもそうだったように…」


「そうだな…それで侯爵の捜索は?」


「私どもは表立って動くことはできませんが、ウォールヒルが捜索隊を出すそうです」


「そうか。歯痒いな…」

「はい」


「バーネットはどうしますか?」


「今は動けんな。まだ〈疑惑〉の範囲だ」


「ええ。そうですね」


――――――――――――


「ルークの死体を回収できなかった。どうするか…」

バーネット公爵とカールは屋敷の執務室に戻って来ていた。

カールは「峠での乱闘です。王宮の方では感知しない可能性もあります。今は動かないで、王宮の出方をうかがうのがよいかと…」


「そうだな、下手に動いて足を掬われてはかなわんからな」


「はい」


「ルークの方は?」


「我々も隙を見て動きますが、おそらく侯爵家の方で捜索隊が出されるかと思われます」


「捜索隊より先に見つけろ」


「はい」


――――――――――――


侯爵邸ではフランツが指揮をとっていた。

明日、早朝から捜索隊を派遣する為にそれぞれの役割を伝えていた。

そこにティナがランスロットと共に帰って来た。

「フランツ。ここで何をしているの?ポールの側にいなきゃ…」と驚いて言うと


フランツが優しく「ポールは命に別状はないとわかりました。今はマリアが側についています。ですから少しでも早くルークさまを探さないといけません。怪我をされていることは確実ですから一刻を争います。明日、日の出と共に捜索を開始します」


「そう。ありがとう。お願いするわ」


「かしこまりました。ティナさまも今日はお休みください」


そしてランスロットに向かい「ティナさまの側にいてくださりありがとうございます。エストラーダ卿もお疲れでしょう?部屋を用意してありますので、もしよろしければ今夜はこちらでお休みください」


「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」とランスロットは答え、

その答えを聞いたフランツは側に控える侍女に案内するように指示した。

そして、指示を続けるフランツに来客の知らせがきた。


ティナとランスロットは湯を浴び、家族用のサロンにいた。軽食が用意されているが、二人とも食欲はない。二人の間に会話はなく、ただ寄り添いソファに座っていた。

そして扉がノックされた。



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