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前世は猫でしたので  作者: KAE


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61/105

救出

流血の描写があります。

苦手な方はスルーしてください

広場の隅で頭を抱えたティナは思いつくことを口にしていた。

その隣でランスロットは静かにそれを聞いていた。

「遠乗りに行ったわ」……「うん」

「釣りにも行ったわ」……「うん」

「狩りにも行った」……「うん」

「遠乗りに行く場所は馬車で逃げられる。奇襲には向いてない」

「釣りや狩りは馬車では入り込めない。やはり奇襲は無理だ」ランスロットは可能性の話をする。

「馬車…馬車…奇襲…。もしかしたら…峠?」

「峠ならあり得る。心あたりが?」

「馬車の事故現場…」

ランスロットは言葉に詰まった。しかし当たれるところは当たった方がいいと判断してティナに向かい

「ティナ。行こう!もし行けないなら俺が行ってくる!場所はどこだ?」と告げる

「キンリッド湖」

「わかった。今すぐ行ってくる!」

「待って、私も行く!」

ランスロットはティナの顔を覗き込みさらに瞳を覗き込み頷き、黙ってティナの手を取り馬の元に走り出した。


――――――――――――



「断る?それは困るなぁ」と言いながらバーネット公爵は右手を挙げた。


「散々人の話を聞いておいて今更断られると困るんだよ」と言いながら挙げた右手をルーク達の方へ振った。

物陰から幾人もの黒いマスクをした黒装束の武装集団が出てきた。皆手に剣を持っている。

バーネット公爵の「かかれ!」の合図でルーク達に向かって来た。


ルークとポールは一番最初にかかって来た男の剣を受ける。短剣だが素早く男の懐に入り腕に斬り込み、男の手から離れた剣を奪い取り迎撃態勢に移った。

多勢に無勢。すぐに決着がつくだろうと思っていたバーネット公爵の目論見は外れた。

バーネット公爵の刺客達がどんどん地面に倒れていく。多少の傷を受けながらもルークとポールの眼光は鋭く疲弊している様子はない。このままでは全員やられると判断したバーネット公爵は別の合図を出した。

途端にヒュン!と風を切る音と共にルークとポールの頭上に矢が降ってきた。バーネット公爵の刺客にあたり刺客が倒れる。二人はまず盾になる場所に逃げ込もうとした。その時「あぶないっ」の声と共にポールがルークを突き飛ばした。突き飛ばされたルークが振り返るとポールの肩に矢が刺さっていた。

「ポールっ!」叫ぶとポールは肩に刺さった矢を引き抜きルークの元に駆け寄る。「これぐらい大丈夫です。どちらから矢が降ってきていますか?」と状況を確認する。バーネット公爵の後方に射手が4人いた。

二人は撤退を選んだ。退路を探す。後ろは長い急斜面で水の流れる音がする。左手には公爵と射手。右手には遠巻きに刺客がまだ6人残っている。急斜面は降りている間に集中攻撃されるだろう。刺客を突破し刺客を盾にして逃げた方が生存確率は上がると判断する。

「ポール!生きて会おう」のかけ声と共に二人は飛び出した。矢は飛んでくるがなんとかひとりの刺客を盾にした。「うわっ」とポールの声に気を取られた瞬間右腕が熱くなった。間髪入れずに刺客の剣先がルークの頭上に落ちてきた。すんでのところでかわしたが左肩に激痛が走った。体勢を崩しそのまま急斜面を転がり落ちていった。

ポールは相手の剣を受けながら視界の端で急斜面を転がっていくルークを見た。がどうにも動けなかった。

ギリギリと鍔迫り合いが続く。あと、もう一押し。その時背中に激痛が走る。後ろからやられたと思った時は地に伏していた。


バーネット公爵とカールは激しい戦闘を目の当たりにして強張っていた体を、大きく息を吐いて落ち着かせた。

大声で「ルークの死体を探せ!」と次の命令をした。しかし、その時遠くから馬の激走する地鳴りがした。

「チッ、間の悪い…撤退だ!」バーネット公爵は、急いで撤退の合図を出す。

ポールと対峙していた刺客が地に伏すポールにトドメを刺そうと振りかぶった時ポールは力を振り絞って体を捻りながら相手の刺客に向かって剣を振り上げた。

黒いマスクが斬られ顔から血が吹き出し刺客はその場に蹲った。

バーネット公爵達はそれに構わず馬の地鳴りに追い立てられるようにその場を去った。


激走してきた2頭の馬が止まった。


激走してきた馬から降りたティナとランスロットはあたりの惨状を見て言葉を失う。

幾人もの黒装束の男が転がっていた。

「ルークは?ポールは?」ティナはその中から二人を見つけようとする。目の端に蹲る影が見えた。

その横に仰向けになって倒れているポールを見つける。

「ポールっ!」ティナは急いで駆け寄る。


「ポールっ!ポールっ!」ティナはポールに声をかけ続ける。

薄れていたポールの意識が浮上して反応を示した。

(あぁ、生きてる!)ティナはホッとした。しかしかなりの深傷を負っている。

ランスロットが隣から「ルーク殿は?」と聞かれ、立ち上がり再び周りを見るがルークらしき人はいない。

その時ランスロットに抱えられたポールが震える腕を上げて急斜面を指差した。

「!」(ここから滑り落ちた?)ティナは懸命に急斜面の上を探す。

大きな土手状になっている斜面は草地が続きその先が深い茂みになっている。その茂みの中に倒れているかもしれないと思ったティナは懸命に自分の目、耳に神経を集中させる。ティナの右目が光る。

しかし、ルークの気配どころか、他の動物の気配もなかった。

ティナはランスロットに向かって悲しげに首を横に振った。

「ティナ。ルーク殿は必ず生きている!だから今見つからないんだ!信じよう!今はポール殿を医者に見せるのを優先させよう!」

見るとポールは既に意識を失っている。傷だらけだ。

ティナは頷き走って2頭の馬を連れてきた。

「ティナ。片手で馬を操れるか?」

ティナは黙って頷く。口を開けば今にも泣きそうになるのを必死で耐える。

ティナの気持ちを理解したランスロットは頷き指示を出す。

「じゃあ、ポール殿を乗せるからティナは強く傷口を押さえながら着いてきてくれ」と言いながら丁寧にゆっくり馬に乗せる。

そしてランスロットは近くで顔を血だらけにして蹲る男の首を乱暴に掴み引きずって自分の馬に乗せた。

「他の者は、警備隊を寄越すから任せよう!行くよ!」

二人は峠を後にした。

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