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前世は猫でしたので  作者: KAE


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バーネット公爵の自白

「国王はバーネット公爵を説き伏せられなかったんだ」

ティナの頭の中でランスロットの言葉が木霊(こだま)する。しかし、両肩に置かれた手に力が入っているのに気がついてすぐに我にかえった。


瞬時に(探さなくては…)と思い。

「フランツ!すぐに馬の用意を!」

「マリア!エレナ!出かけるわ!急いで着替えを!」

と指示を出した。

「ランス!一緒にルークを探して!」と願った。

ランスロットは大きく頷き「勿論だとも!急ごう!」とすぐに着替えを終えたティナと共に侯爵邸を駆けて出て行った。

二人を見送ったマリアはフランツに不安そうな目を向ける。フランツは「二人とも帯剣して行った。きっと大丈夫だ」と願うように言ってマリアの肩を抱いた。

そして、不安そうにしているエレナを見てマリアの肩を抱く反対の手でエレナの肩を抱きながら「ティナさまにはエストラーダ卿がついているきっと大丈夫だ。三人とも大丈夫だ」と願いを重ねるように言った。



ティナはまずバーネット公爵邸に向かった。

公爵邸の使用人に確認したところ〈旦那様とカールは今朝、お出かけになられました。行き先は聞いておりません〉とのことだった。

途方にくれた。どこを探せばいいのかわからない。

「二人で落ち着いて考えよう」と今は馬を繋いでおける広場の隅にいた。そしてランスロットに見守られながら、今までのルークとバーネット公爵の行動を思い出していた。


――――――――――――


ルークとポールを乗せたバーネット公爵家の馬車はバーネット公爵家とは違う方向に進んでいた。

それに気づいたルークは(油断した)と後悔したが既に馬車は速度を上げている。ひとりなら怪我を覚悟でなんとか抜け出せるかもしれないが、ポールを置いていくわけにはいかない。


ポールも気づいていた。

「ルークさま。ルークさまなら抜け出せますよね、行ってください。狙いはルークさまです」


ルークは窓の外、流れる景色を見ながら「いや。僕でもこのスピードでは無理だ。大怪我を覚悟の上ならできるかもしれないが、すぐに気づかれるだろう。いずれにせよ逃げられない。ポールも帯剣してるよな?」


「勿論です。短剣ですが」


二人は頷いて脹脛(ふくらはぎ)に隠していた短剣を腰の背中側に隠す。


「バーネット公爵の出方をみる」


「はい」


「もし、攻撃してきたら、自分のことだけ守ってくれ」


「え?いや…」


「僕の方が素速いでしょ?」と戯けてみせる。


ルークの覚悟がわかったのかポールは「わかりました。二人で生き抜きましょう」


二人は窓の外の景色を観察しながら、地形を考察する。ルークには見覚えがあった。家族で最期を過ごしたあの湖に向かう道だ。しかし馬車は湖には到着しなかった。

馬車はゆっくり速度を落とした。そして停車した。

あの事故現場で。


馬車の扉が開いた。開いた扉の向こうにはバーネット公爵とカールが立っていた。


ルークとポールはゆっくり馬車を降りて馬車を背にバーネット公爵とカールに対峙した。そして


「伯父上!これはどういうことですかぁ?伯父上のお屋敷に案内されるとばかり思ってましたが?それにここにはあまり来たくなかったんですが…」と少し戯けた調子で言った。


バーネット公爵は気味の悪い笑顔で「今後のことを相談したい。と言っただろう?」


「でも、ここは今後のことを相談する場所とは思えませんが…」


「私の今後のことを君に相談したくてね」


「話が見えませんが…それに伯父上の今後なんて僕にはどうしようもないのではありませんか?」


「それがあるんだよ。君が私の役に立ってくれれば、それで丸く収まるんだ」


「伯父上の役に立った僕はどうなるんですか?」


「ここで死ぬんだ」


「どういった流れで死ぬことになるんですか?」


「私に悪事を暴かれた君は、追い詰められてここまで逃げてきた。君の両親を思い出してね、私は君を追いかけ、ここで罪を償うことを提案する。しかし君はそれを拒否して私に襲いかかるが返り討ちにあってもらう。そして両親が死んだ場所で君も命を落とす」


「悪事って一体なんですか?しかしなぜ、ここが両親の死んだ場所だと知ってるんですか?周りには馬車の事故としか伝えてないのに」


「君は相変わらずだね。いつもふざけたことを言う。わかっているんだろう?なぜ私がここを知ってるか…」


「まさか…」


「そうだよ。デニスに頼んでね」


「伯父上の仕業だったんですね、でも僕達は生きてました」


「そうなんだよ、驚いたね。まさか生き残りがいるとは。全くうまくいかないよ」


「そんなにうまくはいかないのが人生ってもんでしょ?」


「全くだ、アルフレッドもフローラもロバートもそして君も私の邪魔をする」


「叔父上も?」


「そうさ。私と共に動けば良い。と言ったのに早々に領地に戻ってしまって…根性のない奴だ」


「そうですか…しかし身に覚えのない悪事で死ぬのは嫌だなぁ。その悪事を知る権利はないんですか?それともその悪事を知っても生き残る術はないんですか?」


「生きる術か…じゃあ。今から言う罪状を全て君が被ってくれるなら生きられるかもしれない」


「それはなんですか?死にたくない」


「君は国を欺いてネイルロウと通じ鉄鉱石をネイルロウに横流しした」


「横流しして僕になんの利益があるんですか?」


「んー。ネイルロウが力をつけた暁には君はこの国の要職につくはずだった…かな」


「それは、クーデターが成功した暁ってことですか?僕が?」


「そう。ウォールヒル領は鉄も宝石も潤沢な資産もある。できると思わないかい?」


「要するに、伯父上はウォールヒル領どころかこの国が狙いで、その後ろ盾がネイルロウがしてくれる…と言うことですか?そしてその疑いを僕が被る…と」


「頼めるかな?」


「いえ。お断りします」








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