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前世は猫でしたので  作者: KAE


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二人の旅 4

ティナとランスロットは、騎馬隊が宿泊する宿場町の次の宿場で宿を取った。明日、台車が到着したのを確認して次の街に移動する。


いつも通り宿場の中で一番人が集まる賑やかな食堂で食事をとっていた。

相変わらず、明日通過予定の騎馬隊の話で盛り上がっていた。今年は騎馬隊の旅は順調で何年か前は雨に降られ、道の状態が悪くなりこの街で足止めを余儀なくされ急遽宿の手配で大変な思いをした。という話を大声でしていた。


(そうか!足止め!)と思った時、前からランスロットの声がした。「ティナ。何を考えている?」

最近、ランスロットはルークより鋭くなったような気がすると思うティナであった。


「え?何も考えてないよ。強いて言うならこのシチューは美味しいな…って思ってた」


「本当に?」


「本当だってば」

その後二人は食堂を後にして宿に戻りそれぞれの部屋で休むことにした。


深夜。ティナは部屋の窓をソロソロっと音を立てずに開けた。隣の部屋の窓を見ると暗い。

(よし)と思い、2階の窓から近くの木の枝に飛び移り地上に着地する。

そして、そのまま夜の元きた街道に消えて行った。


ティナはひとつ前の宿場町、台車が見える場所にいた。あたりをうかがう。三人の兵士が台車の周りを警備している。体を低くして隙を狙い台車の下に潜りんだ。

今、ティナの目の前には大きな車輪が見える。

ティナはブーツの中に仕込んでおいたナイフで車輪を車軸に繋ぎ止めている部品にヒビを入れた。

ふと〈もしかして…)という思いがよぎったが、今はそれを考える時ではないと自分に言い聞かせ、作業を終わらせその場を去った。



翌日、二人は騎馬隊が到着するまで街の散策を楽しんでいた。カフェで軽い昼食をとってから次の街に行こうと話していた時、騎馬隊が来たぞー!と誰かが叫んだ。

振り返ると土煙をあげて騎馬隊に守られた台車がこちらにやってくる…と思った瞬間。前から2台目の台車が傾き始めた。バキッっと音がした気がした。山に積まれた鉄鉱石が街道に散らばる。「ワーッ!」「キヤーッ!」「オワアーッ!」と悲鳴が上がり、あっと言う間に台車の車輪が離れて鉄鉱石を積んだ木箱が土にめり込んだ。騎馬隊も騒然となり隊長が事態の収集に動き出す。


それをカフェから見ていたランスロットは「あーぁ。これじゃあ、二日はここで足止めだね。フッ」と言い。ティナに顔を向けて「じゃあ、ティナ。俺達はそろそろ出発しよう!」とティナの手を取り街を後にした。


街を出て、街道に出たところでランスロットはいきなりティナの肩を抱き、反対の手でティナの頭をゴシゴシ撫でた。

「うわぁ!いきなり何をするの?」と頭を撫でている方のランスロットの腕を掴みながら抗議すると、

「なんでもない!なんとなく、ティナ可愛いなぁって思って…ふふ」と意味深に笑っていた。

そのまま二人は時にはじゃれ合いながら時には手を繋いで街道をゆっくり歩いていった。


――――――――――――


バーネット公爵領主邸にようやくカールが到着した。

すぐにバーネット公爵に到着したと挨拶に来ていた。


「旦那様、合流が遅くなり申し訳ございません」


「いや。大丈夫だ。ご苦労だった。サザーランドはどうした?」


「はい。2、3日しつこく通っておりましたが、最後は諦めて出て行きました。旦那様が王都にお戻りになる頃には姿を消していましょう」


「そうか。使えないものをいつまでも飼うわけにはいかないからな」


「はい」


「こちらは、暫く良い天気が続いておる。しかし、巡視隊が駐在しているので動けん」


「ご心配には及びません。巡視隊の打診が来た時点で、相手に遅れるか、もしくは来年に持ち越しになる旨を伝えてあります。こちらが動き出すまで待ってくれるでしょう」


「そうか。そうか。ご苦労であったな。今日はもう休んでくれ」


「はい。ありがとうございます。では…」

とその時。「お知らせします閣下」と侍従が扉をノックした。


「入れ」の声に侍従が扉を開けて用件を言う。


「昨日、四つ前の宿場で台車ひとつが破損したようです。急いで修理、復旧を行なっておりますが、足止めを余儀なくされ、到着が4、5日遅れると連絡が入りました」


「そうか。ご苦労」と動揺を隠して返事をした公爵は侍従が退室してから大きなため息をついた


「4、5日か…」と呟き窓の外の空を見上げた。


翌日。朝食の席に座って王太子を待っていた。後ろにはカールがいつものように控えている。

すぐに王太子も側近を連れて食堂に入ってきた。


「おはよう。待たせたかな?」


「いいえ。私も先ほど来たばかりです。さぁおかけください。食事を始めましょう」

と王太子の着席を促した。


「ありがとう、では失礼して…ん?見かけない顔ですね」とバーネット公爵の後ろに控えているカールに目をやる。


バーネット公爵は「これは、ご紹介が遅れまして申し訳ございません。彼は私の王都の屋敷の執事でカール•レンドロスと申します。本来は一緒に帯同する予定でしたが王都での残務がありましたので、昨日到着したのです」


「そうだったんだね。アーネストだよろしく頼む」とカールに挨拶すると

カールは丁寧に頭を下げ「バーネット公爵家で執事をさせていただいておりますカール•レンドロスと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます」と返した。


「カールはバーネット公爵家は長いのか?」と唐突に王太子が聞いてきたので、カールはバーネット公爵に一旦目をやり頷くのを確認してから発言した

「先代のバーネット公爵閣下の時からお世話になっております」


「そうか…結構長く勤めているんだな」


バーネット公爵が後を引き継ぎ「父より爵位を譲られた時にカールも父について別邸に行ったのですが、父が他界し、またこちらに戻ってきてくれたのです」


「それは、得難い忠誠心を持つ執事なのだな。実に羨ましい」


「恐縮でございます。私は果報者ですな」と笑った。


その後は穏やかに食事が進んだ。



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