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前世は猫でしたので  作者: KAE


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クローディア 1

クローディア・メアリ・サザーランド子爵令嬢は、

ルイス・ダンテ・サザーランド子爵とシャーロット・ルイ・サザーランドの間にできたひとり娘であった。

とても可愛い顔立ちで、幼い頃より両親はもとより周りの皆に「可愛い」「可愛い」と言われ続けて育ち、自分自身も〈私は可愛い〉と信じて疑わなかった。

誰かに避けられるなんて経験したことがなかった。

ルーク・アウルム・ウォールヒルに会うまでは。


バーネット公爵家門の中でも一番可愛いと言われていたクローディアのもとに公爵家から〈茶会に来た客をもてなせ〉という使いがきた。

クローディアの父ルイスはバーネット公爵家の後ろ盾をもらい王都で堅実に雑貨商を営んでいた。当然断ることはできなかった。

公爵家に赴き、公爵から誰をもてなすが聞いた時クローディアは喜んだ。相手がルークだったから。

ルークは王立学院の一学年上に在籍していた。〈侯爵家の嫡男で容姿も長身で整った顔立ちに魅力的なオッドアイ、いつも清潔に整えられている艶のある黒髪。しかも婚約者がまだいない〉女生徒の熱い視線が向くのも仕方なかった。ルークはそんな女生徒の熱い視線に全く関心を示さず、同じような美しい容姿を持つ妹と常に一緒にいた。誰もそれに近づけなかった。

そんな相手と公爵を通してお近づきになれる。もしかしたら彼の妻の座を得られるかもしれないとクローディアは思った。が結果は惨敗だった。どんなに可愛く笑っても、どんなに縋りついても、ルークには何も響かない。妹を伴い公爵家に姿を現した時、諦めがついた。クローディアから見たティナーリアは別格だった。美しいのはもとより、凛として品があり、話題も豊富。しかし全く偉ぶる事はなく自然体で、時々、女のクローディアから見ても可愛い仕草をした。そしてルークは隣で穏やかに笑っていた。

この兄妹と私では差がありすぎる。同席するのも恥ずかしくなった。それでも公爵はクローディアに〈ルークを誘惑せよ〉という。無理だとはわかっていても口にすることはできなかった。

ルークの爵位継承披露の夜会に同行させられた。〈最後のチャンスだ〉と言われたが、当然ルークの瞳にクローディアは映らない。

公爵邸に戻った翌日、〈使えない〉と家に帰された。

クローディアは内心ホッとした。

しかし、それを機に父の営む雑貨商の経営が行き詰まり始めた。

〈使えない〉と言われたのが家門の他の者にも伝わったから。父はなんとか立て直しを計り、公爵に面会を請うても面会が叶うことはなかった。


そんなクローディアの前にルークが姿を現した。


王立学院の帰り、迎えの馬車の後ろに家門はないが立派な馬車が停まっていた。

クローディアが迎えの馬車に近づくと、後ろの立派な馬車から男性が降りてきた。ルーク・アウルム・ウォールヒル侯爵だった。かなりお疲れのようである。

誰かと待ち合わせなのかと周りを見たがそれらしき人はいない。会釈をして迎えの馬車に乗り込もうとした時ルークから声をかけられた。

「サザーランド子爵令嬢」


「はい」…「ウォールヒル侯爵様、お久しゅうございます」と短くカーテシーをして挨拶した。


「君に話があるのだが、少しいいだろうか?」


どうしたのだろう?と思いながらクローディアは「はい」と答えた。


迎えの馬車を先に帰し、家門のない立派な馬車に乗る。ルークは迎えの馬車に「ついて行くから心配ない」と伝えてくれたようだ。


そうして馬車はクローディアの自宅に向かい走り出した。


――――――――――――


ルークはクローディアの前に座っていた。何から話し出せばいいか迷っていた。


そして「サザーランド子爵令嬢、久しぶりだね。その後どうしていた?」と聞いた。


クローディアはニコリと笑って「元気にしておりました。特に変わりはありません」と答えたがルークの顔が少し歪んだ。


それが気になり「いかがされましたか?随分とお疲れのようですが」と聞いてみた。


暫く間があり「いや。私は変わりない。まあ、いろいろ忙しくしてはいるけどね」と僅かに笑った。

クローディアに向けられた初めての笑顔だった。


深くは追求できないと感じ「そうですか」とだけ答えた。


暫く沈黙が続いたが突然ルークが口を開いた

「サザーランド子爵令嬢。君にお願いがある」


クローディアはニコリと笑い「お話を聞かせていただけますか?」と答えた。


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