覚醒
「なんか拍子抜けしちゃったなぁ〜」私はひとりで庭園を散歩していた。
葬儀の翌日から叔父様はフランツのサポートの元、侯爵家の執務に取り掛かった。
叔父様が来る少し前までは緊張と少しの期待で「頑張ろう!」って気合い入れてたのに…「はぁー」
「ま、いいんだけどねー」ひとりでぶつぶつ言ってると上から声がした。
「何ひとりでぶつぶつ言ってため息ついてんだよぉ」
ルークが自分の部屋のバルコニーから身を乗り出している
「ルーク…」
ニヤっと笑って、辺りを伺うと
「待ってろ、今そっちに行くから…」ベランダの柵に乗ったかと思うと少し離れたところに伸びてきている木の枝にひょいと飛び乗って枝から枝へ飛び移りスルスルと木の幹を伝い、ほぉ〜っと感心しながら見ている私の前に着地した。
「凄い!ルークってこんな事できたのね!びっくり」
「うーん、今朝初めてやってみたんだけど割と簡単にできた。自分でもびっくりだよ」
「部屋に戻れちゃったりもする?」
「勿論!見てて!」と言うと
木の幹に捕まったかと思うとまたスルスルと昇り木の枝から枝に飛び移りベランダに飛び降りた
「凄い!凄い!…えー楽しそう!私もできるかな?やってみたい」
「止めておいた方がいいんじゃない?スカートが邪魔だよ。それに木に登った事あるの?」
「ないけど…でも無性にやってみたい!待ってて。乗馬服に着替えてくる」と言って私は一旦部屋に戻る事にした。
急いで屋敷2階の部屋に戻るとバルコニーの扉の外でルークが手を振って立っていた。
「どうやって来たの?」慌ててバルコニーの扉へを開け飛び出す
「ふふっ。バルコニーを飛び移って来た」
「飛び移るって…」
「やってみせるね」そうルークが言うとひょいと柵に乗ると一度体を低くして空中にジャンプしたと思ったらクローゼットルームの窓ひとつ分向こうの先のバルコニーの柵に飛び移った。
「凄い!凄い!」手を叩きながら感嘆の声をあげていると 「ティナもこっちくれば?」と簡単に言ってくれる。バルコニーから下を覗くとかなりの高さがあり足がすくむ。「んー。これはちょっと怖いから木登りから始めようかな…」
「じゃ、早速今からね!」ルークの言葉に頷きその日から練習が始まった。




