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前世は猫でしたので  作者: KAE


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34/113

王宮へ

爵位継承式の前日。殆どの準備を終え、突発的な事態がなければ、恙無く(つつがなく)明日の夜会まで過ごせる状態にして、皆は執務室に集まっていた。


最終確認をする。

ルークは明日朝、正装で王宮に向かい継承式に臨む。

ティナは密かにルークの馬車に同乗して王宮に入り込み、王宮の執務棟2階の宰相執務室を目指す。爵位継承式が終わるのが昼前、11時頃。継承式が終わり、列席していた宰相が執務室に戻ってくるのを見計らい、上手く隙を狙って直接請願書を渡す。

おそらく、ルークは継承式後諸侯と歓談して侯爵邸での夜会の準備の為に王宮を後にすることになる。そのままルークは屋敷に戻り、ティナは密かに王宮を脱出し、2ブロック先に待機しているポールの馬車で屋敷に戻ってくる。宰相執務室、王宮からの脱出方法にはいささか不安はあるが、無理はせず、あたりが暗くなるまで身を潜めて脱出することも視野に入れて動くこととした。


「いよいよ明日だな」とルーク。

「いよいよ明日ね」とティナ。

「そうですね。いろいろありました。やっと一歩踏み出せます」とフランツ。

そしてマリアが「ティナさま。どうかよろしくお願いします。そしてお気をつけください」と言うと皆がティナに視線を向けた。ピリッとした空気に包まれる。

しかしティナはいつも通りだった。

「頑張るわね!きっとなんとかなるわよ。『しなやかに生きる』私のモットーだから!臨機応変!なるようになる!ダメならみんなで逃げましょう!」


皆の肩の力がフッと抜ける。「そうだな!頑張るだけ頑張ってダメならみんなで逃げよう!」とルークが笑って言った。

皆も笑って同意した。


マリアが微笑みながら「ではティナさま、明日の衣装の最終確認も後でお願いしますね」と言うと


ティナが「それも楽しみなのよ。マリア特製の動き易いドレス」と言えば


マリアは「考えましたとも。なかなかの自信作です」と目をキラリとさせ答えた。


王宮で黒い衣装は悪目立ちする。いや怪しまれる。

そこでマリア特製の動き易いドレスの出番となった。

ドレス姿のご婦人は沢山いるので紛れ込み易いとの判断からだった。


フランツは「さぁ、今日は早めに夕食を摂り早めにお休みください。夕食まで少し休んで明日に備えましょう」と場を締め括った。


――――――――――――


公爵邸では公爵の執務室でカールを前に公爵が話していた。


「…まったく、あいつらは何者なのだ?媚薬も効かない、賭け事に誘ってものらりくらりと躱し最終的には怖いだと?ティナは必要以上に纏わりついてくるし、懐柔しようとすれば離れる。クローディアも役に立たん!まったく…」


「なんなのでございましょう。不思議なお二方でございますね。少々困りものです」と少しでも公爵の機嫌を損なわないように言葉を選ぶ。カールとて内心苛立っているが表に出すわけにはいかない。しかし二人を(いぶか)しんでいるのは公爵だけではなかった。

カールは公爵以上に二人に危機感を感じていた。

話題を変える。


「明日の継承式の衣装の準備ができております。何か別にご用意するものがございますか?」


「いや、明日はまだよい。もう少し様子を見てルークの出方を見る。判断はそれからだ」


「かしこまりました」


「あちらからはその後何か連絡がきているか?」


「はい、増産の依頼がきておりました。既に現地に依頼済みです。まだ準備段階ですが、完了間近になったら是非お目にかかりたいと。その時は改めて正式に書簡を送るので取りつぎをお願いしたいと私に連絡がありました」


「そうか…わかった。ではあとのことは頼むぞ」


「はい。かしこまりました」


「さて、まずは明日だな。明日からは一人前の侯爵だ責任も重くなるな…」と窓の外を見ながら公爵は呟いた。


――――――――――――


爵位継承式当日、朝から良い天気に恵まれ幸先のよいスタートとなりそうだった。


朝食を済ませ、ルークとティナは着替えの為に私室に戻る。


ルークはこの日の為の正装で。黒のモーニングに光沢のあるシルクのクラヴァット(ロバート叔父からのプレゼントである)黒の艶のある革靴の姿だった。

ルークは長身で体格も良く艶のある黒髪も手伝って、年齢以上に大人びて見えた。装身具はカフスだけにしたことがルークのオッドアイを引き立たせた。


ティナはシルクのオフショルダーで襟の部分はレースをあしらってある比較的体にフィットした長めのブラウスにロバート叔父が融通してくれた新しく開発した非常に薄いシルクの生地を数枚互い違いに重ねて一番上にはシフォン生地で軽さを作った巻きスカートを太めのリボンを腰に巻きひとつのドレスに見えるようにした。勿論巻きスカートの下はパンツスタイルである。多色仕様ではあるが、全体的には水色に見えるエレガントなドレス姿であった。靴は羊革でできたローヒールのブーツではあるが黒ではなく水色に染めてあった。

マリアはドレスを着こなすティナを見て目を輝かせて「今度は少し違うデザインがいいかもしれませんね!」と次の創作意欲に駆られているようだった。


ティナは請願書一式入った封筒を抱え「さぁ。行きましょう!」と部屋を出ていった。その後ろにはマリアとエレナも続いた。


玄関ホールに着くと既にルークが正装姿でティナの到着を待っていた。お互いを褒め合い、ルークのエスコートで馬車に乗る。今日は御者兼護衛でバートが御者台で待機していた。ティナは「バート、今日もよろしくね」と言えば、バートは「かしこまりました」と笑顔で答えた。


馬車は王宮に向けて出発した。


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