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前世は猫でしたので  作者: KAE


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晩餐

話の区切りの良いところまで…と思い4話投稿させていただきます。お楽しみいただけたら嬉しいです

公爵は夫人と若い女性を伴い玄関ホールで迎えてくれた。

公爵は黒のタキシード。夫人と若い女性はイブニングドレス姿である。

「やあ。ルーク君久しぶりだね。その後体調はどうだい?」


「はい。ありがとうございます。先日は大変失礼しました。お恥ずかしい限りです。お見舞いのお手紙もありがとうございました。伯父上のご好意大変ありがたく思っております。そして本日のご招待。重ねて感謝申し上げます」と一気に捲し立てた。


「はっはっは。いやいや可愛い甥っ子だからね。どうしても気になるさ。今日は皆でゆっくり過ごそうではないか」と上機嫌であった。


その後夫人に挨拶をしたあと公爵に若い女性を紹介される。名をクローディアと言うらしい。

クローディアはルークの長身でしっかりした体にスマートに黒いタキシードを着こなし短く切り揃えられた艶のある黒髪に整った顔だち、オッドアイの瞳に既に魅入られていた。

紳士的に挨拶をするルークに慌てて礼を返すという淑女らしくない態度に少し呆れた。


今、自分達の動きを気付かれるわけにはいかない。

とにかくルークはこの修行のような時間を乗り切る事に集中しようと気持ちを切り替えた。


いつの間にかポールとは引き離されていた。


サロンに案内され食前酒を振る舞われ談笑する。(これは何も匂わないな)


食事の用意ができ、ダイニングに移動する。

クローディアをエスコートする。

クローディアはルークの腕に纏わりつき上目遣いでルークを見ていた。正直うんざりしたが、仕方ない。優しい微笑みを返したら、何を勘違いしたのか頬を染めて笑顔をこちらに向けた。ルークは優しい微笑みを顔に貼り付けたままダイニングに向かった。


その頃ティナは厨房が見える場所にある木の枝に座って様子を窺っていた。先ほど給仕が持って行った食前酒は細工をされた様子はなかった。

アミューズ、前菜、スープ、魚料理、次々に料理が運ばれているが細工される様子はない。口直しの氷菓子が四つ準備されたとろで、モノクルの男が現れた。ティナは(給仕ではなく?執事?)と思い目を凝らす。

その氷菓子のひとつに懐から出した瓶からシロップのようなものをかけている。そしてミントの葉が飾られた。(あれね)と確信する。しかし側に行かなければ阻止できない。

(子ども騙しでもやらないよりはマシかも…)と思い、厨房に近づき、腰のベルトを外した。屋敷の中、廊下の向こうから下げた食器を持ったメイド達が厨房に向かっていた。開け放たれた廊下の掃き出し窓から腰のベルトの端を持って投げ入れフリフリと横に振ってみた。夜なので勘違いしてくれることを期待した。

メイド達の悲鳴が廊下に響いた。そのあと食器の割れる音が響く。「キャー!蛇ぃー!」何事かと人が集まる。モノクルの男も「何を騒いでいる!」と廊下に出て行き騒ぎの収拾の為指示を出している。

その隙にティナはベルトを腰に戻し、氷菓子のもとへ急いだ。モノクルの男が戻ってくる前に、シロップがかかっている氷菓子の見分けをどうするつもりだったのか、どうしたらすり替えられるのか、考えを巡らせながら氷菓子の前に来た。厨房にはまだ人は残っているが誰も氷菓子の方を見ていない。必死で氷菓子を観察する。ミントの葉の枚数が違っていた。三つは3枚なのにひとつは4枚だった。これだ!と思いミントの葉を差し替えた、そしてすぐに姿を消した。入れ違いにモノクルの男が戻ってきて氷菓子を運んで行った。


ダイニングでは食事は順調に進み魚料理が終わったところだった。ルークは笑顔を絶やさず、会話を楽しんでいるように振る舞いつつ、どのタイミングで薬を盛られるのか警戒し張り詰めた気持ちでいた。


口直しの氷菓子はカールが配膳した。(怪しい)とルークは思ったが、氷菓子からは不審な匂いがしない。

(ティナがやってくれたのか?)と思わず笑みが溢れた。それをめざとく気付いたクローディアは「まぁ。小侯爵様は甘いものがお好きなんですね」と声をかけてきた。


意表を突かれたルークは「え?…あぁ…特に甘いものが好きというわけではないのですが、この氷菓子は美味しいですね」となんとかごまかし、食べすすめた。


返事を返されたことに良い気分になったクローディアはさらに話しかける。「そうですわね、これはとても美味しい…」と話を続けようとして、カシャーンという音に遮られる。公爵がスプーンを落とした音だった。

そして少し苦しそうに喉元の蝶ネクタイを緩めようとする。


異変に気づいた夫人は「あなた?どうかなさったの?」と声をかけて近寄ろうとするが公爵が手で制止する。

カールも近寄り「旦那様いかがなさいました?ご気分でも?」と言っているが、公爵の様子に思いあたるところがあるのかテーブルの上の氷菓子を見ている。


ルークは笑いそうになるのを堪え、いかにも心配したように「いかがされましたか?大丈夫ですか?伯父上。凄く汗をかいておいでだ。医者を呼んだ方が良いのではありませんか?」と声をかける。


公爵はひどく辛そうだ。「はぁ、はぁ」と荒い息を吐いている。

ルークは「お忙しいのに、時間を都合して僕に付き合っていただいていて、お疲れになったのでしょう。今日はもうご無理なさらず、どうぞお部屋にお戻りください。この続きはまた次回に…ということで、いかがでしょう?」と言うが公爵はその言葉にも何も返せずただ荒い息を吐き続けていた。


カールが「旦那様。ルークさまもそう仰ってくださっております。今日はそうさせていただきましょう」と公爵に伝え、ルークに向かって「ではお言葉に甘えてそうさせていただきます。ご配慮ありがとうございます」と頭を下げたところで晩餐はお開きになった。



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