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前世は猫でしたので  作者: KAE


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ニールのお手柄

領邸に帰る馬車の中、ティナは東鉱山の調査をどうするか思案していた。リチャードはティナが東鉱山に行くのを避けようとしているのがわかる。夜に侵入するのは簡単だが坑内の入り組んだ道がどうなっているのか、事務所をどこに置いているのかわからない。

屋敷に置いてあった鉱山の坑道内見取り図を確認しておけばよかった。と後悔しても遅い。

そうしているうちに馬車は領邸へ到着した。


「ティナさま、エレナさん、バートさんお帰りなさい」ニールが元気よく駆け寄ってくる。「だだいま〜」と返す。


バートが「ニール、なんだか楽しそうだな、なんかいいことあったのか?」と言えば


「はい!お友達ができました」と満面の笑みで答える。ニールの笑顔に癒される。


バートが「そうか、よかったな」と笑顔で答えている。あとで邸内のメイド達に聞いたところによると、領邸に子どもが来ているという噂を聞きつけた付近の子供たちが様子を見に来てニールと出会い仲良くなったらしい。


ニールの笑顔に癒されて、部屋に戻ろうとした時、後ろからニールとバートの声が聞こえた。振り向くと、


「昨日友達になった子でカイトって言う子がいるんだけどね、その子のお父さんが鉱山の責任者って偉い人なんだって!だから特別に探検させてもらったんだ!うす暗くて怖かったよ、でもホントはまだまだ奥まであるらしいんだけど、その先は危ないから行っちゃダメなんだって、だけど大人ってすごいね!そんなうす暗いところどんどん入って行くんだよ。カイト達も大人になったら、もっと奥に行っていっぱい仕事してカイトのお父さんみたいになるんだって!僕もね、いつかお父さんみたいに上手く馬を扱えるようになるんだ」と一気にバートに話しかけ、バートが「そうか、そうか。ニールは手綱捌きの上手い御者になってくれるのか。いつか乗せてくれよ。楽しみだ」とニールの頭を撫でていた。


「ニール。探検に行ったの?」と思わず声をかけた。


ニールは満面の笑みで「はいっ」と答える。


「楽しそうね。どんな探検だったのか気になるわ、聞かせてくれる?」と聞くと、ニールは得意そうに「勿論」と答えてくれた。


ニールの探検話によると、大きく掘り込まれた巨大な穴を螺旋状になっている坂道を下り一番底に作られた坑内入り口から地下に伸びた緩やかな坂の途中に管理事務所があり、カイトの父親はそこで仕事をしているらしい。管理事務所からさらに坂道を下りていくと平坦なところに出てそこからは横穴が続くそうだが、そこから先へは行かせてもらえなかったようだ。

「でもね。真っ暗な穴なのに時々冷たい風が吹いてきて気持ちよかったんですよ。坑道の中の道は広くて道の片側に大きな木でできた台車がたくさん置いてあって、台車の横にも前にも後ろにも持つところがあって、帰りは疲れちゃったから台車に乗せてもらってカイトのお父さん達に押してもらって帰ってきました」と嬉しそうに話す。「そう。楽しそうでよかったわぁ」とニールの頭を撫でながら(ニールお手柄ね)と心の中でニールを褒めた。


管理事務所の場所がわかれば日誌の確認作業はできる。今夜行ってみよう。


そして一緒に話を聞いていたエレナに「ニールのお友達にニールと仲良くしてもらってありがとうって配れるように菓子を用意してくれるかしら?」


「かしこまりました。それと、あとで打ち合わせが必要ですか?」と返されたので「流石ね」と笑っておいた。


その夜、エレナを寝室に残し東鉱山へ向かった。


東鉱山の穴の底を地上から覗くと、坑内入り口は木の門で塞がれ警備員が二人いた。きっと交代するはずと思いその時を待った。交代要員の姿が見えたので闇に紛れて移動する。隙を狙い門の隙間から坑内に入った。確かに暗い。ニールの話通り坑内入り口から少し坂を降りたところに管理事務所はあった。

誰もいないことを確かめ事務所に入り書棚に向かう。

この暗闇ではさすがに文字は読めない。持ってきたランプをつけ灯りを頼りに目的の物を探す。

目的の物を見つけページをめくっていくと、お守りにと渡されたページのところが抜けていた。

「これね」私は保管されている古い日誌を取り出し中身を去年の日誌と差し替えた。ついでに今年の日誌の前半部分も抜き取り、前の年の日誌を紛れこませて元の位置に戻し差し替えた去年の日誌と抜き取った今年の日誌を持ち帰る事にした。


坑内入り口にはまだ警備員がいるはず。まだ出られないなら…と思い奥に行ってみることにした。

確かに道は広い。台車もある。時折り冷たい風が坑内奥から吹いてくる。もっと煩雑に物が置かれているのかと思ったが、坑道には何も落ちていなかった。時々道具置き場のような大きな扉付きの棚があるくらいだった。横穴はかなり長がった。まっすぐ横穴に沿って歩いていると、ふと横から風が吹いてきた。そこには横に伸びる道があった。気になって風が吹いている方に行ってみた。風が吹き込み続けている。葉っぱの擦れるような音がしてきた。人の声が混じっている。

注意深く動く。横穴から出たところは雑木林になっていて、少し先には小屋が二つ建っていた。

中から複数の男の人の声が聞こえる。どうやら食事中らしい。隠れて過ごしているようではなさそうだ。

賑やかな笑い声が聞こえてくる。

「お疲れさん」と皆が言い労を労っている。

「明日で終わりだな」

「ふた月頑張ったよなー」

「後は領地まで運べば終わりだな」

「明日の夜には次の奴らがくるからなー」

「早く家族の元に帰りたいよー今度の給金で窓の修理をしようって話してたんだ」

「ウチは…」


そんなやり取りを聞いていた私は「明日?明日何かあるの?」と思い明日もう一度来ることにした。

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