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前世は猫でしたので  作者: KAE


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ルークとティナと公爵

ルークとフランツの見送りを受け豪華な馬車は侯爵家を後にした。

馬車の中で「フー」と一息吐いた公爵は目の前のカールに問う。「どう思った?」


カールは「まだなんとも言えませんが、執務室の中を見る限り、凡庸な若者だと感じました」


公爵は頷きながら「そのようだな。それにあの様子だと私が探している物には何も気づいてないのだろうな」そして「本当に抜き取られた形跡があるのか?ただ保管が悪くて無くしただけなのでは?」とカールに向かって言うと


カールは「…かもしれません。しかし今は少しの綻びも許されません。抜き取られたと仮定して動くのが一番かと」


公爵は「ふむ。……アルフレッドに気づかれてはいないと思うのだがな…」と遠くを見て呟くと

カールは「念の為です」と答えるにとどまった。


公爵は気持ちを切り替えるように「先ずはきっかけを作った。徐々に絡み取っていこう」と言えば


カールは「かしこまりました」とニヤリと笑った。


――――――――――――


「ふーっ!疲れたぁー!フランツ役者だねぇ。マリア、ポール。タイミングよかったよー!皆お疲れ様!」とドサッとソファに沈んだルークが明るく言った。


皆は満足気にニコニコしている。

フランツが「何を仰いますか、ルークさまが一番の役者でしたよ!あの情けなさそうな顔…ふふ、笑ってしまいそうでした」


ポールが「見たかったなぁ」と言うと

フランツは「見せなくてよかった。絶対お前は声に出して笑ったはずだから」


隣でクスクス笑っているマリアも、あの公爵の顔。私がお茶を出した時目が泳いでましたよ、毒でも盛られていると思ったのかしら…意外と小心者かもしれませんよ。クスクス」


ルークが「でも、あのカール。あれは意外と曲者かも。ずっと周りを観察して、ポールが開けた執務室の扉の中を食い入るように見てたもんね」


「確かにそうでしたね。まぁ先代公爵の時代から仕えているそうですから、公爵家を大事にしているのでしょう」


「へぇ。そうなの?」


「はい。先代公爵が代替わりで別邸に移った時、先代公爵について別邸に行ったらしいのですが、先代がお亡くなりになって現公爵の元に戻ってきたようです」


「それは珍しい事なの?」


「いえ。それほどではありません。私どもは家門と共にありますから、引き継ぎがうまくいってなければ戻る事もよくある事です」


「ふーん。なるほどね。覚えておこう」


そこでマリアが「さぁ。ひと仕事終わりました。休憩にいたしましょう」と明るく声をかけると皆賛成して一時の休息を取るのだった。


――――――――――――


馬車は、ウォールヒル侯爵領に入っていた。時刻は昼過ぎ。ちょうど馬車は町と町の間の林道に差し掛かっていた。後半日もすれば領邸に到着する。


今、馬車の中はエレナと二人だった。ニールは業者席でベックに手綱捌きを教わっている。


「ねぇ。エレナ…」とひと声かけるとビクッとエレナが反応する。


訝しげに「何?その反応」と言えばエレナが「ティナさまがそのような言い方をされる時は決まって面倒な事なので…」と口を尖らせて言う。


「わかってるわね。さすがよ。私、ひと足先に領邸の様子を見てくるわ。だから領邸に着く前…最後の町で買い物をしなくてはいけない…とか言って馬車を止めてくれない?そこで馬車に戻ってくるから」


「はぁー。わかりました。否はないですもんね。承知しました。必ず馬車に戻ってきてくださいよ。私ひとりで抱えるなんて不安でしょうがないですから…」


エレナが言い終わるや否や、さっさと訓練着に着替えてバートが馬上で付き添っている反対の窓からティナは素早く出ていった。


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