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前世は猫でしたので  作者: KAE


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19/107

領地へ

翌日。私は領地に向けて出発した。

同行者はエレナ。護衛にバート。それにニールも同行する事になった。

最初同行予定になかったバートとニールだが、昨夜デニスが懲りずに賭場に行ったらしい。借金をするつもりだったらしいが前回の返済がないので断られ、さらに返済を迫られた。しかし返す金がない。賭場の主人もデニスの様子を見て返済期日を決め、それまでに完済するように脅しをかけたようだ。

それでフランツとバートはニールが側にいるのは危険だと判断した。そこでバートは護衛。ニールは御者修行という名目で侯爵家を一時離れる事にしたらしい。

デニスの監視は、行動パターンがわかってきていたので、他の者とルーク、フランツと連携を取る事にしたと教えられた。


出発の時。見送りの皆に「気をつけて」と口々に言われ苦笑いしながら了承の返事をする私の視界の端に、心配そうに我が子を抱きしめ見送るニールの母と笑顔で行ってきますと言って抱きついているニールの姿が印象に残った。


ここから領地まで三日間の旅。任務があるとはいえ楽しみであった。


――――――――――――


ティナを見送った夜。ひとりで訓練する気にもならず私室で本を読んでいた。そこにノックの音が。


「ルークさま。動きがありました」と少し強張ったフランツの声。


「どうぞ。入って」の声にフランツが「失礼します」と入ってくる。少し息が上がっている走ってきたのだろう。


「デニスか?」


「はい。今裏門から出て行ったようです。明日は休みを取るそうです。おそらく賭場に向かったかと」


「借金も返せていないのに一体どうするつもりだ…。わかった。僕が追うよ」と言って素早く黒い服に着替えバルコニーから飛び出した。


侯爵家の敷地から出て暫くしたところでデニスに追いついた。背中を丸め早足で歩いている。

賭場のある方に向かっている。距離をあけてデニスを追う。暫く尾行をしていると、おそらくそこが賭場なのだろう。場末という言葉がぴったりと当てはまる。雑多な物が放置された場所に建つ建物の前で止まった。建物の中に入ろうともせず、建物の前に佇む。僕は少し離れた家の屋根の上から様子をうかがう。


暫くすると細身の男がやってきてデニスに声をかける。窓から漏れる部屋の灯に浮き上がった男の顔は細く神経質そうで顔の肉付きがないせいで頬骨が尖って見えた。切れ長の目にモノクルをかけ、一見どこかの執事のようだ。いやきっとどこの家門の執事なんだろう。


デニスはその男に何か紙片のような物を渡す。代わりにその男はデニスにおそらく金の入った袋を渡すのが見えた。なかなかの金額だと思われる。そして二人は別れた。デニスはその袋を握りしめ建物の中に入っていった。


デニスが建物の中に入っていくのを確認したそのモノクルの男は踵を返し少し先に待機させていた黒馬車に乗る。家紋はない。

馬車が走っていく後をひたすらつける。

馬車はスピードを落としある家門の門をくぐって行った。


「え?嘘だろう?……ティナ…」自分の呟く声が他人の声に聞こえた。



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