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前世は猫でしたので  作者: KAE


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14/105

ニール

カチャリ。

静かに扉を開けてルークが戻ってきた。

皆、黙ったままルークを見つめる。

ルークも黙ったままソファに座りフランツを見た。

「デニスが父上の部屋を漁っていた。フランツ。デニスの監視は続いているか?」


「はい」


「何か報告は?」


「今のところこれといった動きはみせておりません」


「そうか。気づかれずに尾行はできる奴か?」


「それは別の者に任せましょう。まだ早いですから」


「ん?まだ早い?なぜ?」


「まだ子どもですので」フランツは顔色ひとつ変えずに言う。


「子ども?誰の事を言ってる?」


「ニールです。ラルフの遺児です」


皆が一斉にびっくりした顔をする。

「そんな、危険な事を子どもに…」ポツリと私が言うと「ニールは自分が監視役を担っているとは思ってません。元々監視は別の者にさせていました。ニールはその者になぜか懐いていて、その者の動きで何かを感じたようです。自分から「デニスのお守り(おもり)をしてあげるよ」と笑って言ってくれたようです。その者も監視理由をそれなりに誤魔化して伝えたようですが。…変わった事があったらすぐに知らせてもらえる事になっているらしいです。なかなか聡い子どものようで、その者が言うには将来が楽しみだ。との事です。デニスも相手が子どもだから油断しているようです。ふふふ」


フランツが裏の支配者に見える。きっと気のせいではない。


「フランツぅ…はぁ」とため息を吐いた後ルークは続ける。

「近々、デニスは質屋に行くのではないかと思う。父上のカフスボタンとクラバットピンのセットの箱を持ち出して行った。今は使用人棟の自室にいるだろう」


フランツは「かしこまりました。質屋に入れたところで店主から取り引き証とそのセットを買い取っておきましょう」


「頼む。それがあればいつでも解雇できるから」


気を取り直してルークが「しかし父上の部屋を漁っていた目的、部屋での奴の動き方からしておそらく宝飾品ではないだろう。やはりこれか?」と日誌を指差す。


「可能性はゼロではございませんね」


暫くして


「…今日はここまでにしよう。明日朝食後執務室に集まろう。再度日誌の件を検討する」それぞれがルークの言葉に頷き、私室を後にしようとしたところで私はマリアに声をかける。

「ねぇマリアぁ〜お願いがあるんだけどぉ〜」


観念したような顔で私を見るマリア。

「ふぅ。かしこまりました。ドレスを着ていてもすぐに動ける衣装でございますね。今準備している訓練着に改良を加えます。それから訓練着の準備ができました。明日お待ちします。一度着て実際に動いていただき調整をしたいと思います。…ティナさま。だからそんなウルウルした目で見ないでくださいませ」


「だってぇ〜すぐに察してくれるマリアだ〜い好き!」


「わかりましたからっ…大変光栄ですっ」とまんざらでもない顔で返してくれた。


それを見ていた周りは、いつもの光景に特に反応もせずに「はいはい。じゃ今日は休みましょう。おやすみなさいませ」のフランツの言葉を合図にそれぞれ就寝の挨拶をして部屋を辞して行った。


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