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前世は猫でしたので  作者: KAE


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東鉱山  2

「昨日の大雨でも影響がないようですので急がなくても大丈夫だと思いますが、念の為塞いで補強する工事はしておいた方がいいと思います」とウォルフ達が説明した。


そのあと、もうひとつの横穴も確認して、具体的な計画を立てるために五人は管理事務所には戻ることにした。

管理事務所に入ろうとして、ルークは坑道の奥から子どもの声が聞こえてきたような気がして足を止めた。

不審に思った四人は「どうしましたか?」とルークに声をかけた。


ルークは「この鉱山は子どもも働いているのか?」と聞くと、管理責任者は「とんでもない。こんな危険な仕事を子どもにはさせられません」ときっぱりと否定した。


ルークは「そうか」と言いながらも耳を澄ませている。ルークの左目が淡く光ったことに気づいたフランツは「なにか聞こえますか?」と聞いてきた。


ルークは「気のせいかもしれない…」と今はなにも聞こえなくなったので、そのまま管理事務所に入ることにした。


――――――――――――


ティナは子どもの声が聞こえた方に歩き出した。

ランスロットも一緒に歩き出す。


「子どもだけ?何人いる?」とランスロットはティナに聞く。


「子ども、男の子の声かな?三人ほど…大人の声は聞こえないわ」


「子どもだけなら危ないな、止めないと…」


「ええ」


「ティナ。先に行って!君なら早く子ども達のところにつけるだろう?俺は後を追いかけるから、急がないと…」

とランスロットに言われ、ティナは頷いて子どもの声が聞こえる方向に向かって走り出した。

ランスロットもティナの後を追いかけて走った。


ティナが子ども達のところに着いた時、子ども達は既に坑内に足を踏み入れていた。


ティナは子ども達を見つけると脅かさないように声をかけた。見覚えのある子どもがいたので名前を呼んでみる。

「マルク…そこでなにをしているの?そこは危ないわ、こっちに戻ってきて」


名前を呼ばれたマルクは驚いて振り向き「あ、ティナさん。ジャックが鉱石を拾いに行こうって…でもなんだか怖くて…」と心細そうに答えた。


「そこは危ないわ、ゆっくりでいいから私のところにきて」と言いながら、ティナは坑道入り口の坂道に足を踏み入れた。


「でも、ジャックが入って行っちゃって…」と中の方に目をやる。


「わかった。ジャックは私が連れ戻してくるから、マルク達は先にこっちにおいで」


マルクとマットはおとなしくティナの言う通りに坑内から出てきた。


マルクとマットはティナの側に来るとホッとしたのか、座り込んでしまった。

ティナは座り込んだ二人に「怪我はないようね。よかったわ、少し離れたところで待っていてくれる?今、ジャックを呼んでくるからね」と言っているところにランスロットが追いついた。


「大丈夫か?怪我はないか?もうひとりはどうした?」ティナ達のところに着いたランスロットは急いで皆の無事を確認する。


ティナはランスロットに「ジャックという少年がどうも奥に入って行ったみたいなの。この子達どうやら灯を持ってはいないみたいなので、そんなに奥には行けないと思うから、私ちょっと探してくるわ」と伝えると


「いや、俺が行ってくる。そんなに奥には行けないなら抱えて連れ戻してくるよ。子どもが歩いて出てくるよりは早く出てこられると思うから…坑道の中はだいたいわかるから」と言ってすぐに灯りの用意をして坑内に入って行った。


ジャックは後悔していた。壁伝いに坑道の中を奥に入ってきたが、鉱石なんてない。それよりも気がついたらあたりは真っ暗で、どっちに戻ればいいのかもわからなくなってきた。不気味な風がどこからか吹いてくる。声を出して見たが、自分の声が暗闇で響いているだけだった。


「怖いよぉ〜ぐすっ」とうとうジャックはその場で蹲ってしまった。

その時、コツコツと足音が聞こえてきた。

ハッとして顔を上げると、小さな光がこちらにくる。

思わずジャックは立ち上がって光の方に歩き出そうとした。

その時「ジャックか?」と男の人の声がした。


「うん」


「そうか。怪我はないか?」と話しかけながら男の人は近くにきた。背の高い優しそうな男の人だった。


「俺はランスっていうんだ。迎えにきたよ」とジャックの前でしゃがんで話しかけてくれた。


安堵したジャックは堪えきれずに泣き出してしまった

「ごめんなさい。ご、ごめんなさ…い」


そんなジャックにランスは「怖かったな。さあみんなのところに帰ろう」と頭を撫でてくれた。

そして、ジャックを片腕で抱き上げ、反対の手でカンテラを持ち、今来た坑道を急いで引き返した。


ティナは坑道入り口で二人の帰りを待っていた。

先ほどから軒を支える組んだ丸太が嫌な音を立てている。軒の上に積もっていた土砂が雨水をたくさん含んで、重くなっているようだ。


ミシッ…ミシッ…っと組んだ丸太のあちこちから音が鳴り続けている。


ティナは焦った。(早く、早くランス)

その時灯が見えた。ランスがジャックをば抱えて急ぎ足でこちらに向かってくる。

ティナはランスロットに「ランス!急いで!軒が崩れそう!」と叫んだ


ランスロットはカンテラを放り出し、ジャックを両腕で抱え走り出した。


二人が軒をくぐり出ようとした時、組んだ丸太が重みに耐えかねて崩れた。


「ランス!!」ティナが叫んだと同時に

バキッ!ゴゴゴッ!ドーン!と爆音が響いた。


咄嗟にジャックを出口に向かって放り出したランスロットはそのまま土砂や壊れた丸太、瓦礫の中に姿を消した。






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