不穏な空気
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「そういえば、事故の時の御者はどうなった?」とルークが聞くと
「あの事故での生存者はお二人だけでした。いくら特別な能力が目覚めたとしても奇跡だったのでしょう」と苦しそうに答えた。続けてフランツは「あの時の御者、ラルフと申しますが、ラルフの家族には慰労金を支払いました。そしてラルフには幼い10才になる息子がおりまして今後の事を考えてその息子を侯爵家の厩務員見習いとして雇い入れました」
「そうか。よかった…」
「いかがいたしました?何か気になる事でも?」
場の空気が緊張する。
きっとルークはランプの男の事を話すのだろう。
「三日前の乱入者の件だが、手引きした者が侯爵家にいる。たしか雇い入れている御者のひとりだったと記憶しているのだが」
「顔を見たのですか?詳しく聞かせていただけますか?」の問いにルークは頷き当時の話をしたのだった。
ひとしきりルークの話を聞き終えるとフランツは「件の男は風貌からするとデニスと思われます。もう一度顔を見て確認していただけますか?もしその男ならいかがいたしますか?」
少し間をおいてルークは「金目のものが目的ではなかった事は確かだから、デニス個人の仲間ではないだろう。それに乱入者は戦い方を知っていた。月明かりだけが頼りだった分僕に分があった。明るい場所なら負けていただろう。 だから、誰の差し金か、何が目的か、何もわからないので暫くデニスを監視して様子を見ようと思う」
「かしこまりました。早速監視をつけます。しかし何とも不穏ですね」
「そうだな。こんな事があると事故も事故でないのかもしれないと思ってしまう。考えすぎかもしれないが…」
ルークとフランツの会話を聞いていて(確かに…)と思いいたり、背筋が寒くなった。
暫く思案顔のフランツだったが…
「確認ですが、先ほど、夜の訓練は楽しいと仰っておりましたね?訓練は引き続き続けたいと」
急な話題の変換に戸惑いつつも二人で頷く。
「それでは今後の毎日のスケジュールですが、お二人は無事卒業試験を終えられ後は卒業式とパーティーを残すだけになりました。登校しなくてはいけない日はありますがその他は特に決まった用事はないと思います。ですのでこれからはルークさまにはより厳しい剣術訓練の時間を、ティナさまには護身術会得のための時間を設けさせていただきたいと思います。お二人には午前中は剣術と護身術の時間に、午後は執務及び学習の時間に、夕食休憩を挟み、使用人消灯後の時間から夜の訓練にあてていただきたく思います。あぁ、執務及び学習が滞ってしまったら夜の訓練は諦めてくださいね!これも全て侯爵家の為でございます。お二人に何かあったら後悔してもしきれませんからね」
とホッホッホッと笑った。
「え?」「きびしいなぁ」でも反抗できない。
小さい頃からの力関係は変わってないと実感したのであった。




