表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/39

墓標★

 領事館だった場所まで足を運んだオレは確信した。

 これは偶然ではない。

 この領事館は明らかに狙って壊されている。


 何故なら他の”道”は、通った所だけ破壊されているのだが、この領事館は全壊しているからだ。

 もっと言えば隣接する教会のような建物は、傷ひとつ付いていない。

 オレは、巨大生物が通過しつつ、尻尾で叩き壊したような絵を頭に浮かべた。


 狙われた理由は分からない。巨大生物の機嫌を損ねる何かがそこにあったのか、それとも誰かが巨大生物を使役したのか・・・

 店の帳簿にあった重税具合を見るに、領主は恨みを買ってはいただろう。しかし、それにしては大掛かりだ。こんな力がある者が支配に甘んじていた理由も分からないし、ここが王国領なら反乱だ。この規模の反乱を国が放置しているのも怪訝だ。


 分からないことだらけだが、一つだけ判明したことがある。

 やはりこの”道”を作ったのは生物であることだ。


 何故なら巨大な糞があった。オレの背丈を超えるその土塊は、干からびており、特に匂いはしなかった。しかし所々白骨化した動物の骨らしきものが混ざっており、それが糞であることが伺える。

 そして、その骨の状態から、そいつは餌をあまり咀嚼せず、丸呑みする蛇のような類であることが伺える。


 そんな化け物を使役できる者・・・もしそんな秘術が使える魔法使いがいるのであれば、地下要塞ぐらい建造できるだろう。

 そして、それがあるとすれば、やはりこの”道”の先が一番怪しい。


 先を急ぐことも考えたが、一応、領事館跡らしきその場所を物色する。

 しかし、めぼしい成果は無かった。いや、何かはあるのかもしれないが、破壊が酷すぎて挫折したというのが本音だ。


 オレは隣の教会らしき建物に挨拶だけして、街を後にすることにする。

 異教徒なので祈りはしない。が、その地に神がいるなら、踏み入れた礼儀として挨拶だけはする。オレは各地でそうしていた。深い意味はないが、ゴロツキなりのケジメみたいなもんさ。


 そこは、なかなか荘厳な教会だった。

 入口脇に二対の神と思われる巨大な立像に出迎えられる。二人とも憤怒の形相で筋骨隆々。不敬があれば今にも襲いかからんとばかりに武器を構えている。


挿絵(By みてみん)


 奥には更に雄大な神像が鎮座していた。こちらは穏やかなような、見透かしたような、なんとも読めない表情をしている。


 そして、他の空き家に比べて、ここは床に埃が無いことに気が付いた。先ほどの少女は、もしかすると、ここの手入れに来ていたのかもしれない。


「どうも、おじゃましました」

 オレは三体の像にそれぞれ挨拶すると教会を出た。


 夕暮れの日差しが顔を直撃する。

 手の平を日除けにして、旧領事館の方を見ると、夕日を浴びたあの巨大な糞が、墓標のように見えて、オレは失笑した。



神像の絵、モデルはトーマス・ハーンズというボクサーの構えです(:ーp)


金剛力士風だけど、金剛力士じゃないというイメージなので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ