表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/39

エピローグ

 後日、オレはパルにとある建物に招かれた。

 例の地下水路から船に乗り、牧場とはまた別のルートにある建物だった。

 その建物の中に入ると、やはり工場のようになっており、生活感はまるでない。牧場と違うのは、天井が無いこと。そして、部屋の中央に大きな船のようなものが置かれていることだ。


 船と言っても、オレの知っている船とはだいぶ違う。先に乗り物と聞いていたので、オレはそんな大きな乗り物は舟しか知らないからそう言っただけだ。形は船というよりも、鯨か何かの模型に近い印象だ。


 パルに促されてそれに乗りこむと、導師と第三王子が既に中にいた。


「揃いましたね。では出発します」

 導師がそう言うと、操縦席らしい所で何やら操作を始めた。

 地面が揺れる。


「出発?どこへ?」

 オレはパルに聞いた。水路どころか建物に囲まれた船だ。まったく意味が分からない。

「空だよ」

 パルはオレの反応を面白がるように、わざととしか思えない不十分な説明をした。


 上方で爆ぜる音がする。それと共にオレ達を乗せた船が浮上した。

 操縦席の窓から見える景色から、とんでもない高さまで飛んでいることが分かる。

「ほら」

 パルがとある窓まで手招きする。

「あっ!」

 恐る恐るそこに向かうと、廃墟となった街が見えた。

 そして、領事館があったところにポッカリ穴が開いている。


「あそこから飛んだんだよ」

 パルが言った。

「この船が見つかるといけないのでね。あんな風に壊してたんですよ。でも、ようやく修理が終わったので領事館はお役御免です」

 導師が続いて説明する。


「貴方は何者なんですか?」

「この船に乗って別の星から来ました。転移魔法(ワープ航法)の実験に失敗して不時着したんです」

「今から帰るんですか?!」

「いえ、残念ながら転移(ワープ)装置はこの星の文明レベルでは直せません。私はここに骨を埋めますよ。本当は穏やかに住みたかったんですけどね」

 導師はやるせない顔をする。

「しかし、竜騎士長(ヤツ)が情報漏洩したせいでもう王国にマークされてしまった。ここは防衛拠点として残しつつも、我々は更なる新天地を目指す。幸い導師が言うには、この星はまだまだ未開の大陸があるそうだ。今日はその視察だよ」

 第三王子が続く。


「それでも、互いに領土を広げていけば、いずれまた衝突する時も来るだろう。全面戦争はなるべく避けたい。それまでに恐れられ、近づかないように圧倒的な戦力差を付けようと思う。我々が魔王とでも呼ばれるぐらいね。ジゲン殿も是非協力を願いたい」

 第三王子が右手を差し出した。

「微力ながら」

 オレは手を握り返した。そして言った。

「でも名はスタナーと呼んでください。意外にこの名前、気に入ったもので」

 それを聞いてパルがクスリと笑った。


ーーー

・・・とまぁ、オレの話は以上だ。

あれから数十年。

『魔界』『魔王』『魔族』なんて呼び方もだいぶ定着してきたが、元々あれはプロパガンダの一種だ。魔族って言ったって、中身は普通の人間さ。


こんなのは常識と思ってたんだが、王国人は知らないんだってな。

相変わらず情報統制でもしてるのかな?ならば、こんな手記出版して大丈夫なんだろうか。


まぁ、困ったら『魔界』に来ればいいさ。



ー完ー


お読みいただきありがとうございます。

元々昔のゲームブックっぽい話を書いてみたいというのが本作の執筆動機でした。

魔法やスキルはありつつも、七割八割は人間技でなんとかしなければいけないし、油断すればすぐ死んでしまうような世界観ですね。

あまり流行りではないと自覚しつつ、個人的にはこっちの方が書いてて楽しいので、何か思いついたらまた書いてみたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
完結、お疲れ様でした。 完結してから一気読みさせていただきましたが、面白かったです。 昨今のファンタジーって、エルフや妖精が出てきてぽわぽわした印象があるけど、元々はけっこうじめじめした、根暗なジャ…
 完結お疲れさまでした!  隠された財宝を狙っていたはずなのに、とんでもない方向に飛びましたね。  選択肢間違えたらバッドエンドになるような仕掛けが緊張感を出していて良かったです。  チートで楽勝圧…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ