名乗り★
ロックが外れる音を確認して白刃を抜き出す。
「パル、確か食人鬼並みの力で叩けば発動するんだよな」
遠くのパルに届くように声を張る。
「待って!すぐ調整す、、」
「そんなヒマ無いだろう」
オレのやりたいことを察して、こちらに駆け出そうとするパルを声と身振りで制した。
「なんとかするよ」
「なんとかって!」
「自顕!」
「?!」
「前に話した師匠から貰ったオレの名だ。興味があったら後で調べな」
そう言ってオレは剣を構えた。
まず右手片手で握り、大きく上段に振り上げる。柄は右前腕にくっつけるようにし、柄頭を左手で押さえる。
こうして剣を右前腕に固定してしまう。
言わば、右手、右前腕、左手が通常の握り働きをする。
左右の肘が手首の働き、肩が肘の働き、股関節が肩の働きをする。
これ突進力を加えれば、食人鬼の腕1本分ぐらいの力は出るはずだ。
オレは気合と共に駆け出した。
その気合は文字には表しにくい。
強いて書けば「ヤー」とかになるのだが、もっと野性的な声だ。猿叫という独特の叫び。
これにより自らを鼓舞し、弱きものは委縮させる。
そして、強き物はオレから目が離せなくなる。
鎧蜥蜴はオレを見た。そして大口を開けた。
それでいい。
狙うは下顎、歯茎、舌!固い外皮よりもこの方が衝撃が走るだろう。
昏睡剣は狙いたがわず鎧蜥蜴の下顎の前歯の間を捉え、深く刃が食い込む感触がある。そして閃光と共に激しい衝撃が走った。
思わず剣を放してしまい、尻もちを付く。
しまったと、あたりを見渡すとその衝撃は想像を超えて激しかったらしく、斬りつけたヤツはもちろんのこと、周囲の者達も硬直して動けないようだ。
竜騎士長は尻もちを付いている。
今こそと立ち上がろうとしてオレは膝を着いた。頭がクラクラし、耳は何も聞こえない。
これも後で聞いたことだが、スタンの衝撃は叩きつけた衝撃に比例するとのこと。
先に言えよな。。。
ともかく、歯を食いしばって動かない体に鞭打っていると、目の前を走りすぎる影がある。
第三王子だ。
「見事!」
一瞬だけオレを見てそう言うと、彼の剣は正確に竜騎士長の心臓を貫いた。




