デモンストレーション
オレは側近たちに紛れて導師の近くに位置どった。そして、先ほど見た鎧蜥蜴の瞬発力を頭で反芻し、万一に備える。
鎧蜥蜴の表情は穏やかに見えるが当てにならない。竜騎士長の命令次第なので、警戒すべきはヤツなのだろう。
オレは一人と一匹を警戒しながら近づいた。
導師が傍らに立ち、頭を撫でようとするも一人と一匹に動く気配はない。
しかしなぜだ?
何やら殺気を感じる。
そして、オレはこの殺気を知っている。
そう感じた瞬間、オレは導師に走り寄り、彼を突き飛ばした。
激しい衝撃音とともに、さっきまで導師がいた場所に、何かか突き刺さるように落下する。
「何だ?!」
周囲がざわめいた。突き飛ばされた当の導師は何が起こったのか分かっていない。
オレは地面に突き刺さっていた者の脚を掴み、周囲に見えるように掲げた。
「鳥です。流石に生きてないでしょう。背骨はグシャグシャです」
その鳥は完全に息絶えていた。一見すると大鷲のようで、それを元に進化させたものなのだろう。しかし、嘴が大きく、首が短く、頭が小さい。この奇妙な姿形は、はたして『進化』と言えるのだろうか?
「どういうつもりだ」
最初に口火を切ったのは第三王子だった。
「これも新兵器ですよ」
「兵器だって?!キサマ!命をなんだと」
「うるせぇな。そんな口が利ける状況だと思ってるのか?」
食って掛かるパルに対して、竜騎士長の口調がこれまでと一変する。
意表を突かれて戸惑うパル。竜騎士長は満足げに薄笑いを浮かべ、全員を眺めるように見渡し、高らかに言った。
「せっかくだからお見せしましょう」
そして、先ほど岩に衝突した鎧蜥蜴を指し、指を鳴らす。
ほどなく鎧蜥蜴周辺は影で覆われた。そして、夕立のような、雪崩のような、土砂崩れのような何かが降り注ぐ。
眼で追える速度では無いが、状況からそれらは、おびただしい鳥たちの急降下であることは容易に想像がついた。
そして、惨状が現れた。
両手持ちのハンマーで殴ってもビクともしなかった鎧蜥蜴が、肉片となり四散している。
もちろん、落下してきた者達も無事な訳が無く、かろうじて鳥だったと分かるような破片となっていた。
「うわっ!」
誰かが上空を指して叫んだ。
いつの間にか集まって来ていた鳥の群れが上空を覆っている。
「素晴らしいでしょう。矢鷹とでも名付けましょう。はははははは」
ヤツは導師、第三王子、パルを舐めるように見渡して高笑いをする。
そう、それで察したよ。ヤツのクーデターの対象は導師だけではない。第三王子もろとも亡き者にしようとしていると。




