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地上

 牧場の裏手を出るとトロッコがあり、オレ達はそれに乗って急な坂道を登っていた。

 辿り着いた先は何と地上!

 2日ぶりに見る空に目を細めた。地下の照明技術はたいしたものだったが、やはり自然光は違う。


 少し目が慣れた所で周りを見ると、直径100m以上ありそうな円形の平地が峰で囲まれている。

 しばらく様子を伺うと、ここがカルデラ状になっている山頂であることが分かった。この辺の山々はかつては活火山が多くあったのだろう。

 

 竜騎士長に促されるままカルデラの中央部まで行くと、巨大な檻がある。

 その中に、見るからに獰猛な大蜥蜴が5匹入れられていた。

 その存在に気付いて、多くの者が尻込みをする。

 そう、ここに参加していたのは、会食に参加していた者全員だ。導師とその側近は見るからに腰が引けている。第三王子はわずかに警戒した様子を見せるも毅然としており、彼の側近の方がざわめいていた。

 パルは不機嫌を隠そうともしない。


 ざわめく観衆を気にも止めず、竜騎士長は檻の扉を開いた。人の背丈ほどもあるゴツゴツとした大蜥蜴がノソノソと檻から出てきた。

「大丈夫ですよ。私の言うことはよく聞きますから」

 観衆の恐れる反応を楽しむように竜騎士長は言った。


岩蜥蜴(ロックリザード)か?」

「ベースはそうです。ただ御覧の通り巨大化し、装甲は強化しています」

 竜騎士長はそう言うと、檻に立てかけてあった長剣で背中を切り付けた。

 甲高い音を立てて長剣が跳ね返される。続いて同じく立てかけてあった両手持ちのハンマーを手に取ると、力いっぱい叩きつける。

「酷い!」

 思わずパルが抗議した。


「ありがとうございます。そう、こんなに酷いことをしても、コイツらは撫でられたようにしか感じていません。御覧の通りです」

 竜騎士は続けて脇腹を蹴りつけた。 

「もういい!」

「ありがとうございます。この特徴から『鎧蜥蜴』と仮に名付けていますが、他に良い名が合ったらご提案ください」

 苛立つパルをからかうように竜騎士長は説明を続けた。


「丈夫なのは分かったが、扱えるのか?」

 第三王子が険悪な二人に割って入るように言った。

「もちろんです。だからベースに岩蜥蜴(ロックリザード)を選んだんですよ」

「と言うと?」

「バカですからなぁ、コイツらは」

 竜騎士長は不愉快な高笑いをし、得意気に説明を続けた。

「巨大化すると脳細自体も大きくなります。学習能力が高い種ならば、成長と共に小賢しくなり、言うことを聞かなくなることもあるんですよ。でもコイツらに対して心配はありません。御覧に入れましょう」

 竜騎士長はそう言うと、一匹の傍らに立った。

 そして、遠くの岩を指して言った。

「走れ!」


 命令と共に、鎧蜥蜴は一直線に駆け出した。

 叩かれている時は鈍重そうに見えたのだが、意外に瞬発力がある。

 そして、全速力のまま迷わず岩に頭からぶつかり、激しい音と共に岩が砕けた。


 さすがに衝撃を受けたのか、鎧蜥蜴は立ち止まり、キョロキョロと周りを見渡した。

「はっはっは、岩を探してるんですよ。自分が砕いたのに!ははははは。本当に頭が悪いんです」

 竜騎士長は一人で腹を抱えて笑っている。


「生物に対する冒涜だ!ジャウードの秘法をこのような形で使うなど!我々の力は生物に協力を依頼する物であり、こんな隷属させるものではない!」

「貴重なご意見ありがとうございます」

 激高するパルを完全に子ども扱いし、取り合おうともしない。

 そして、導師に向かって言った。


「どうです。撫でてみませんか。安全ですよ。コイツは」

 竜騎士長は導師を一匹の鎧蜥蜴の元に手招きした。

 それを止めようとする側近を制し、導師は鎧蜥蜴に歩み寄る。


 周囲の温度が急に数度下がったような緊張が走った。

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