ダクト
『騎士の街』への道は幅2m程度の1本道で、200mほど進むと大きくカーブし、Uターンするような形になった。
そこでオレは気がついた。この道は緩やかに下り坂になっていると。カーブの頂点から見ると来た道と行く道に高低差があるからだ。
天井には、相変わらず等間隔で光るガラス玉のような物が埋め込まれているので、視界には困らない。ただ道を進むと、ほんのり湿度が上がったような気がする。それまで鼻が慣れて意識しなくなっていた土の匂いが再び感じられる。
道を進むと更にUターンする。ただし、一つだけ異なることがあった。
突き当りの天井から縄梯子が垂れている。ちょうどカーブする道の頂点あたりが天井に抜けているんだ。
オレは縄梯子の傍らに立って天井を見上げた。直径1mほどの縦穴が延々と続いている。煙突みたいな感じだな。実際、穴の先は明るく、空のようにも見える。
先ほど煙突のようだと言ったが、よくよく考えれば換気管なんだろうと思った。こんな地下で大勢の人間が過ごすには換気のシステムは何かしら必要だろうから。
そう結論付けると、オレはダクトらしきものを無視して先に進んだ。好奇心としては登ってみたい気もするが、この十分に身動き取れない狭い空間を、梯子で登るのは無防備すぎる。下から襲われたらアウトだからな。
道はやはり200mほど行くとUターンした。ここにもダクトがある。この間、人っ子一人いなかった。そして、この先も人の気配は感じられない。
同じ景色が繰り返されるので少々不安になってきたオレは、地面に小石で『3』と落書きした。
進むとまたUターンになる。幸い地面に落書きは無い。オレは『4』と落書きし、念のため来た道を一旦戻った。そこには『3』の文字があり、一応進んでいることが分かる。気を取り直して先を目指した。
相変わらず道は緩やかに下っており、カーブする度に湿度が上がっていく気がする。湿気に交じって微かに臭う。何の臭いかは分からないが、堆肥の様な、オレにはあまり得意ではない臭いだ。
ひょっとして、この臭いを遮断する為に道がつづら折りになっているのかもしれない。
なら、この先にあるのは・・・
そんな不安を感じつつ、落書きが『7』まで来ると景色に変化が現れた。
Uターンの頂点に木製の扉がある。
その扉には『管理人室』と書かれていた。
近くで聞き耳を立ててみたが、物音は無く、人の気配はしない。
さてどうしたものか。
何かしらの情報が得られるかもしれないし、人がいないなら物色して折れた小剣の代わりになる武器を探してみてもいい。
しかし、人がいた場合どうする?ノックして『新人だ』と名乗ってみるか?しかし特に用事は無いし、中の人間から見たら、オレは明らかに不審者だ。。。




