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卵料理と華胥の花  作者: 浅黄悠
13/13

25.11.14/箱

「25.11.14」


 不機嫌な曇天が美しかった夏の日

 立葵に囲まれて囁きあう

 美味しいビスケットを売るメーカー

 この間友達から教えてもらった手相

 小さな秘密

 これからも遊ぼうなんて約束

 口にする言葉が全て現実になっていくかのような感覚が

 世界を二人でひっそりと支配しているような感覚が

 くすぐったくてたまらない


 笑い声がひとしきり空に溶けて

 誰もいないような大勢に囲まれているようなあの感覚

 子供の癖に私たちは今よりもずっと静寂の価値を理解していた

 いよいよ夕立が迫り母親が私たちを呼びに来るまで

 足元の雑草をむしりながら

 半音ずつ下がる飛行機の爆音に耳を澄ます



 ─────


「箱」


 箱がある

 白いボール紙で出来た紙の箱

 箱には一束の草原が入っている

 箱には炎の庭が入っている

 天に寄り、地に寄り、息を吐く

 そんな自由意志


 箱はその肌を解く

 それはいつでも存在し

 空の中にある


 箱の中には孤独な羊がいて

 臆病な太陽がいて

 麻の服を着た双子がいて

 あれは私達


 夢を見ている?

 ええ、夢を見ています

 宇宙の終わりまでずっと一緒ですから

 滅びも冷却も箱の隙間から一緒に眺めて


 ここへ標を置こう

 言葉がやがて完全に不要になるその前に

 幸せな痛みすら忘れてしまう前に


 私達は一体何だったのだろう

 愛し合うために生まれてきた?

 それともただその手をつなぐため?

 連綿と続いてきた全てを終わらせるため?


 今、夢を見ている

 誰にも、自分自身にさえ理解されないだろう、

 告げるつもりもないような青く甘く遠い夢

 箱が通り過ぎた後の空

 私の体と心はただその余韻で生きている




蛇足。

最近やっとドリームコアという概念について調べた。ノスタルジーで明るい色調ながら不安になるものを指すとか。目指すものと近くはあるけれど、少なくとも人を不安にさせる目的で書いている訳では無い。でも何となくネガティブなものを感じたならそれもあり。最近の作品はそんな感じ。

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