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卵料理と華胥の花  作者: 浅黄悠
12/12

 いつからか神話の中に

 人のいない雪原を彷徨っていた

 何の罪があってか

 それは解らなかったが

 お前も同じ気持ちを味わえと

 巨大な存在に云われている気がしていた


 長きに渡って夜が身体を渦巻いていた

 右手には杖

 肌は割れた石膏

 齢が読み取れない

 誰かにそばにいてほしかった

 せめて自分が遺すものを見つけてほしかった

 自分の中にある冷酷な毒に侵される音を聞き

 それでも歩みを止められず

 誰にも語られない単調な苦痛の中を延々と


 今でも夢に見る

 恨んでいたはずの虚無

 褪せた野花に降る雪

 あれは綺麗だった


 岩を穿てば手に張り付き

 石を投げれば音は返らず

 血の滲みた襤褸布を纏い

 食物ももはや要らない

 タールに炎を

 極光色に燃える


 歩く傍ら探していた

 秘宝、あるいは書物

 伝説は数多く

 しかし私は旅人どころか放浪者に過ぎず

 吹雪の中では何も考えられなかった


 それなのに毎晩

 眠りにつく前に祈っていた

 雪よどうか止まないでくれ

 眠れなくなってしまう

 この呪われた大地から雪が払われれば

 狂気に墜ちてしまう


 目が覚めれば

 青空がひろがっているから

 どこにも逃げられない

 何よりここにあなたはいない

 杖がない


 歩けるようになったら

 扉を探そう

 何らかの


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