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はじめまして
町外れにある研究所
そこでは妙な実験が行われているという噂がある
そんな研究所の一室で、黒髪の少年は静かに目を覚ました
少年からしてみれば、そこは見覚えのない部屋のベッドの上だった
「ここは……」
ベッドから起き上がり、部屋を見渡す
壁は真っ白で鏡とクローゼット、勉強机と椅子が置かれているだけの部屋
自身の服を見れば、無機質な灰色のシンプルな服
手首には「960」と書かれたブレスレットが付けられている
「あ!起きた?」
部屋の扉が開かれる
そこから入ってきたのは金色の美しい髪をした少年だった
エメラルドグリーンの瞳が黒髪の少年を映すと輝きを増している気がする
「えっと……」
聞き馴染みのある声
どこかで会ったことあるようだが、黒髪の少年の記憶には目の前の少年は存在しない
「あーもしかして、お前も俺のこと忘れちゃった?」
黒髪の少年は「お前も」という言葉に引っかかりつつ、コクっと素直に頷く
それを見た金髪の少年は寂しそうに「そっか」と、ただそれだけ答えた