表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

4



「という訳で俺は世界を征服する」


「いや、何がという訳でだよ」


「全然話しが見えないんだけど?」


「というか、死んだはずの私達がなんで生きているの? それに……なんで魔王が私達と一緒にお茶をしてるの?」


 皆を復活して貰ってから数時間が経過した。

 魔王は三人に衣服を与え、魔王城の客室に俺たちを通してくれた。

 まずが旅の疲れを癒せとのことだ。

 俺以外の三人は状況が呑み込めずに途惑っていた。

 しかし、またこうしてこの三人と話しが出来るなんて……。

 まさか魔王に感謝する日が来るなんて思っても見なかった。


「まぁ、これからは敵では無く仲間なのだ、茶を飲む機会も増えるだろう」


「いや、だからなんで俺達勇者一行が宿敵である魔王と仲良くお茶しなくちゃいけないんだよ!」


「アル、それにはいろいろ事情があるんだ、全部説明するから安心してくれ」


「目の前に魔王が居て安心出来るかよ! コッチはさっきから臨戦体制だっつの!」


 アルバスもといアルの言っていることは正しい。

 目が覚めたら宿敵の魔王が目の前にいるんだ、警戒して当然だ。

 そんな事を考えていると、魔王が立ち上がり三人に話し始めた。


「戦士アルバス、君は確か途中立ち寄った村で金品を狙った盗賊から村人を守るために戦い死んだ」


「お、おう……そうだけど……」


「魔法使いエリン、君はここに来る前に金で雇われた殺し屋に毒を盛られて死んだ」


「まぁ元々私は嫌われ者だったしね……」


「そして、僧侶カリーナ、君はつい数時間前に牢屋の番をしていた魔物を庇って人間の手によって殺された」


「結局守れませんでした……」


「そんな人間に殺された君たちを復活させたのが魔族の王、魔王なのだから皮肉な話しだな」


「確かにな……人間様の為に戦ってたのに、俺も途中でどっちが正しいのか分からなくなった」


「この旅で見方が変わったわね、この世界の……」


「私は神を信じていました、しかし本当に信じるべきものが何なのか分からなくなってきました……」


 そりゃあそうだ。

 俺だってこの魔王を信じるまでずっと途惑っていた。

 どうするのが良いのかって。

 でも、この魔王の本質を見て確信した。

 この魔王となら平和な世界が作れると……。

 魔王を倒して一時の平和を人間が手に入れるよりも、人間と魔族が和解し永遠に続く平和を手に入れる方がよっぽど良いと。


「そんな疑問を持って旅をしていたお前たちだ、きっと私を前にしても直ぐに殺そうなんて思わなかっただろ?」


「まぁ、それはそうだな……」


「正直魔族の方に寝返ってやろうなんても考えたわよ」


「私は平和の道が無いのか貴方に聞きたかったです」


「そうだろうな、なんせこの勇者が選んだ仲間だ、そういう者達だろう」


 皆、やっぱり魔王を殺して世界が平和になるとは思っていなかったのか……。

 やっぱりこいつらを仲間に選んでよかった。


「まぁだが、肝心の勇者は仲間を失い絶望し、私に殺してくれと言っていたがな」


「は?」


「え?」


「まぁ……」


「お、おい! そのことは言わなくても良いだろ!」


 俺がそう言うと魔王はニヤニヤと笑いながら話し始めた。


「さっき、恋人を失った……道中では仲間を………」


「おい馬鹿! 言うな! もうそれ以上言うな! 恥ずかしいだろ!」


「良いではないか~あの時のお主は面白かったぞ~」


「だからってこいつらの前で言うなよ!」


 俺が真っ赤な顔で魔王の口を塞ごうとすると、今度は仲間の三人がニヤニヤしながら俺を見ていた。


「ほぉ~俺たちがいなくてそんなに寂しかったのかぁ~?」


「あらあら~勇者は一人でも魔王に立ち向かうんじゃなかったかしらぁ?」


「私の事を思ってくれていたのですね……嬉しいです」


「や、やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 こんな魔王と世界征服なんて出来るのだろうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ