生まれる前から
「この子ったら、いつになったら生まれて来るのかしら?」
「そうね。予定なら、もう生まれてもおかしくないのでしょう?」
お腹の大きなエルフのお母さんが同じようにお腹の大きい友人を招いて自宅の居間でハーブティーを飲んでいた。
「そうなのよ。先月には生まれてもおかしくなかったのに、この子ときたら、そんなに生まれたくないのかしら?」
「このままなら、この子のほうが先に生まれてしまうわね」
二人は親友同士で同じ時期に妊娠したので、子どもたちも歳が近いので親友同士になるだろうと期待していたのだが、片方が出産予定の月を過ぎても生まれてこないので、もう片方が出産予定の月を迎えようとしていた。
「冗談ではなく、そうなりそうだわ。お腹の中はそんなに居心地が良いのかしら?」
「本当にね」
二人のエルフのお母さんはなかなか生まれてこない子どものことで首を傾げながら、ハーブティーを楽しんでいた。
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お母さんたちが不思議がっている時、赤ちゃんたちも思念でおしゃべりをしていた。
「なんで、生まれないの?」
産み月が近付いて来た赤ちゃんは言った。今まで、お母さん同士がおしゃべりをしている間、思念で話していた仲良しが生まれないことを彼女も不思議がっていた。
「私が生まれたら、あなたが独りぼっちになってしまうでしょう?」
彼が独りぼっちにしたくなかったのが原因だったようだ。
「わたしもすぐ生まれるから、平気よ」
そう言って、彼女は宥める。
「しばらくお話しできなくなります」
「それだって、二年くらいだわ」
「二年も話せないなんて、耐えられません」
「会えないわけではないのよ。あなたとわたしのお母さまは友達のようですし、今までのように話せないだけです」
「それが嫌なのです。私はあなたともっと話していたい」
「話すにしても、お母さまたちが会ってくれないと話せないでしょう? でも、今のままなら、あなたのお母さまの命が危ないからもう会えないかもしれない。そうなったら、あなたとはもう話せなくなってしまう」
彼は考え込んだ。
「・・・・・・・・・わかりました。生まれます。生まれたら、また話してくれますよね? いっぱい話せますよね? ずっと一緒にいてくれますよね?」
「わかったわ。また一緒に話しましょう」
「ずっと一緒にいてくれますよね?」
圧を感じて彼女はよくわからないまま頷く。
「ずっと一緒? ・・・うん、一緒にいる」
彼女は生まれる前から執着してくる幼馴染と結婚することになるなど予想だにしていなかった。




