状況確認
異世界飯は不味いってイメージありますが、この世界は、そこまではないです。
僕は遅めの昼食中。ベーコンとほうれん草のエッグベネディクトをナイフとフォークで切り分けてる。
ベーコンとマフィンをフォークに刺してポーチドエッグに絡めて口に入れる。
ううん、美味い!
味付けはシンプルだけど、素材がいい!ここはお洒落系のカフェ。聖都とかで見かけるとこよりは、無骨な感じだけど、木目調メインで、逆にそこがいい。テラスは高いので、窓に近い席をとった。
もきゅもきゅ。
進まない。めっちや食べるの遅い。食べ終わると同時にコーヒーが出てくる。田舎なのに気がきいてる。
まずは状況確認。お金は、一月位は、宿屋暮らし出来る位は持ってる。贅沢しなければ、今してるけど。
コーヒーを少し口に含む。酸味が少なくビターな感じだ。僕好みだ。あとで、何処の豆か聞こう。僕はコーヒーには、ミルクと砂糖をどっさり入れるタイプだけど、必ず初めはブラックで風味をみる。そうしないとコーヒーに対して失礼ってもんだ。
当初は、開拓村で冒険者として一月位肩慣らしした後に、聖都にある、魔術学院に編入する予定だった。入学式からいかないのは、途中編入って目立てそうだったからだ。
けど、今は、聖都には早く行きたい。なぜならば、聖都には、温泉があるという。
温泉!!!
女湯!!!!!!
皆が夢にみるパラダイス!!
今の僕は合法的に入れる!!もっとも、まだまだかなりの経験値を貯めないと駄目だけど…
「ご一緒してもよろしいですか?」
気の弱そうな、貧弱な青年だ、服はそこそこいいものを着てる。あ、今、僕の胸の谷間をチラ見した。まぁ、男だから仕方無いよね、こんな胸元がっぱり空いたの着てる僕も悪いし。
「済みません。待ち合わせしてるんです。」
すごすごと立ち去った。ひっきりなしだよ、五人目から数えるのやめちゃったよ。当然誰かを待ってる訳じゃない。
気をとりなおして、僕自身の現在の能力は、まず、戦闘能力は皆無。
謎剣を出してみたけど、構えただけでぷるぷるだった。
魔法は今のところタッチヒールしか使えない。他の魔法は、発動する事が出来ないようだ。
僕の知ってる魔法の知識では、魔法とは、体内にある謎エネルギーマジックポイント(MP)を、世界の理を変化させる言葉、いわゆる呪文で変化させ、様々な事を引き起こすものらしい。
何度も何度も繰り返し、思っただけで、MPを変換出来るようになったら、呪文は要らなくなる。僕は出来るけど、特別らしい。
タッチヒールは、回復魔法の最下位で、その名の通り、触ったものを回復する。使える回数は、駆け出しの僧侶で、だいたい一日に3・4回らしい。
MPチートで、他の魔法は無尽蔵に使えたけど、タッチヒールは苦手であまり使わなかったのでわかんない。今なら僕は結構な回数使えるのではないだろうか。
あと、特殊能力は、オートヒールと、環境適応と、重力耐性がある。
三つとも、親父との地獄の特訓で身に付けたもので、竜戦士の必要能力だ。
オートヒールは、その名の通り、怪我とかが結構な早さで回復する。
環境適応は、水中呼吸、炎熱氷結気圧変化とかへの耐性。
重力耐性はかなりチートで、自分にかかる重力をコントロール出来る。これにより高く飛び上がり落下をコントロールして、空中戦が出来るし、めっちや早く走れるし、高いとこから落ちても無傷!
因みに今は、走るのは、それを使っても普通の人より少しは速いくらいだ。
コーヒーにミルクと砂糖をどっさり入れて口をつける。
今更ながら、何で僕は今女の子になってるのだろうか?
魔法?呪い?毒?
魔法の可能性が高いと思うが、まったく判らない。母親なら、なんか知ってるはずだけど、本当に困るまでは、頼りたくない。
「ここ、座るわよ!」
あ、冒険者ギルドの受け付けのエルフだ。他のテーブルも空いてるのに、了解もなく僕の前に座る。
「うわ、なに、その服!媚び媚び!キモっ!」
汚いものを見る目で見られる。恥ずかしさで、顔が熱くなる。
「なに、赤くなってんのよ!そういうのむかつく!苛めたくなる!」
ヒュン!!
風を切る音がして、座ってたはずのエルフが僕の視界から消える。
ガシッ!!
「ヒヤーッ!!」
後ろからエルフ奴が、僕の乳を鷲摑みにしている。ゾクゾクして力が出ない。
「もげろっ!!」
エルフの指に力がはいる。くすぐったくて、脱力する。
バシッ!!
力を振り絞り、クソエルフにビンタを放つ!
「何しやがる!!ばかぁーーーーーっ!!」
僕の声が響き渡った。
今から、私もカフェに行こうと思います。