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18話 見えた涙

「るる……………やっちゃった……………どうしよ…………」



 涙目ですがり付いてくるまっふー。まっふー可愛すぎ。……………心臓の音がうるさい。刻む律動が早くなっていくのを感じる。きっと、人のことを考えている場合じゃないと思う。でも───────



「まっふー、今から柚原君追っかけて謝りに行くよ」



「えっ!? 今から!? で、でも……………」



「悩むより行動、だよ! まっふーてば、優柔不断だから、明日になっても踏ん切りがつかないでしょ?」



「うっ………………」



 罰の悪そうな顔をするまっふー。どんなまっふーでも可愛いよ。本当に。でもね……………まっふーには、心のそこから笑っていて欲しいから。だから──────この気持ちはそっと胸にしまっておかないと。今じゃない。……………じゃあ、いつ? ……………多分、伝えないんだろうと思う。



「ほらっ」



「ちょ、ちょっと─────」



 まっふーの腕を強引に引っ張る。早くいつものまっふーに戻って欲しい。強引に引っ張っていくのは、私の役目。……………うん、自分でも何言ってるのって感じ。



 私はまっふーを連れて、まっふーの家を出た。もち、鍵はしっかり閉めさせた。




◇◆◇◆◇



「まだそう遠くへは行ってないはず……………」



 闇雲に探しても見つからない。



「まっふー、柚原君()ってどこ?」



「え? あっちの方だけど……………なんで?」



 まっふーが指差したのは、十字路を真っ直ぐ行く方向。割りとまっふーの家と近いじゃん。………………羨ましい。



「柚原君が家に帰ってる途中なら、その途中にいるはずでしょ。まあ、もしかしたらもう帰ってる………………っていうのもあるけど」



 頼むからいて欲しい。まっふーのためにも。



「………………まっふー、柚原君に会ったらちゃんと謝るんだよ? この期に及んで毒舌はなしだからね?」



 心を鬼にして厳しく。うっ……………まっふー、しょんぼりしてる。可愛い。なでなでしたい。撫でてあげたい………………駄目だよね。分かってた。



「わ、分かったわよっ」



 うんうん。その調子だよ、まっふー。その調子で柚原君にぶつかってくるんだよっ。……………ぶつかったら駄目か。ファイトだよ、まっふー!



「あ………………」



 まっふーが小さく声をあげた。まっふーの目先には、ちょっとおしゃれな雰囲気漂うカフェ。こんなところにカフェなんてあったんだね。今度まっふーと一緒に来よっかな。なんて。



「どうしたの、まっふー?」



「あ、あれ………………」



 まっふーが指差した先。カフェの中。そこには──────



「──────柚原君と、小島先輩……………?」



 しかもあの二人、何やら親しげに話している。あの二人に接点なんてあった……………?



「ちょっ、まっふー!?」



 まっふーが急にその場から走り出した。私は慌てて追いかける。だけど、まっふーの足が速くて、差はどんどん広がっていくばかり。やがて、まっふーの姿も見えなくなった。



「………………まっふー」



 少しだけど、まっふーの泣いている顔が見えた。……………あんな顔にさせたくなかったから、ここまで来たのにな………………



 私の胸が妙に締め付けられた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] タグにざまぁ無いから真冬ルートなんだろうけど 毒舌ってレベルじゃない罵詈雑言に暴力や恫喝…… この状況からどうやって修復するのか気になります。 [一言] いろいろ言われていますが、作者…
[気になる点] 今更泣かれてもで?としか思わないですし 異世界物で素直になれない呪いでもかかってるならともかく、異常すぎるヒロインの行動に読者は好意をモテるはず無く、これからどう物語が動くか気になりま…
[一言] 流石に同情できないですねぇ... ここまでヘイトを稼いでおいて今更感がすごい、普通なら修復不可能だと思いますね。 百合で幸せになれば良いんじゃないかな。
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