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17話 沙弥さんはさといのです

「……………………」



「……………………」



 沙弥さん、何呑気に買った本読んでんの? しかもちょっと中身見えかかってる。他人の本を覗き見るとか趣味じゃないからっ……………まあ、ネタバレみたいな感じになるのが嫌なだけなんだけど。



「こちら、注文したカフェラテとアイスコーヒーになります。それではごゆっくり」



 女性店員が注文の品を持ってきてくれた。因みに言っておくと、俺達は今カフェにいる。…………………なんか気まずいわ。



「沙弥。アイスコーヒーきてる。早く飲まないと冷めるぞ」



「………………? アイスコーヒーはもとから冷めてる」



 本から顔を上げて突っ込む沙弥。



「………………知ってるよ。わざとだ、わざと」



 ………………すいません、素で間違えました。決してわざとではありません。嘘をついてるのは俺ですっ…………! …………誰に謝ってんだろうな。



「…………ふふっ」



「……………なんで笑う」



「いや、別に。なんでも」



 ……………こやつ、絶対気づいてる。うまくごまかしたはずなのに……………まあいいけど? 気にしないし? ホントだからな? 俺の心は繊細じゃないし、切れるほど細い糸じゃねえっつの。………………文学男子、爆誕? …………バカじゃねえの。



「あ、そうだ水樹。他にオススメのライトノベルとかってない?」



「あー……………そうっすね。あれとか、なんだっけ………………ああ、そうそうっ、『俺はお前の幼馴染みじゃねえ』ってやつ」



 俺のお気に入りのライトノベルだ。切ない恋とコメディーが組合わさってる感じのやつ。俺のイチオシ。……………恋愛物が好きなのが意外? ……………ほっとけ。



「あ、それ知ってる。今度アニメ化するやつでしょ? 私、それちょっと気になってて。見てみようかなって思ってる」



「まあ、今から原作追っかけるのもあれだし、アニメ見た方がいいと思う」



 話になんやかんや応じちゃってる俺だけど………………正直帰りてぇ。駄目かな? 話しぶった切って今すぐゴートゥーホーム。……………もう帰っても大丈夫だよね? …………睨み一割減だとなお嬉しい。欲張らない、ここ大事。



「ねえ、水樹。大丈夫?」



「大丈夫って何が? 頭?」



 突然何を言い出すんだ。頭は正常じゃい、ぼけぇっ。



「いや、頭じゃなくて……………水樹。さっきから妙に浮かない顔してるから」



「──────────」



 …………エスパー? っていうか、俺そんなに顔に出てた? 誰にもそんな指摘受けたことねぇんだけど……………あ、ぼっちでした。てへっ。



「………………話すことをお勧めする。お姉さんに任せなさい」



 どの口がお姉さんだよっ。お姉さんっぽさとか微塵もねえよ? 妹の方が似合いそうな気が……………はっ、止めておこう。



 沙弥が睨んできたから思考ストップ。これ以上考えたら俺がピーポーにお世話になるかもしれん。……………いや、なんないけどさ。



「………………話せって言われても…………沙弥には関係ない話なんだけど」



「知ってる。だから話して」



 ……………だからって順接知ってる? …………まあ、いいけどね? 知らなくても。



「でも、やっぱり───────」



「D語はなし。話す」



 ………………俺のがD語だったら、あんたのも入ってるからな? …………まあ、言わんけども。



「さ──────」



「話せ」



「…………………はい」



 持ち前の強引さでグイグイ来られた俺は、仕方なく沙弥に事情を話した。

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