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16話 時間潰しと偶然と

「……………どこで時間潰そう」



 早く家に帰れば雪の毒舌が待ってる。ただでさえイライラしてるってのに……………多分また切れるかもしんない。…………どっかで冷ましてきた方がいいかもな。…………ああ、なんで人の事ばっか考えなきゃいけねえんだ。



「………………本屋にでも行くか」



 確か今日入荷のラノベがあったはず。無論、俺が好きなラノベの話。俺はこう見えてもラノベ愛好家。……………こう見えてもってなんだ。まあ、そういうこと。うん。



 俺は取り敢えず帰りがてら本屋に向かうことにした。




◇◆◇◆◇



「やっぱり落ち着くな………………ここ」



 本屋の中って結構落ち着くわ。…………アドバンテージっていうの? そんな感じ。…………英語苦手だから、多分ちげえわ。アドバンテージ。



「おっ、あった。新刊の棚」



 ついでに言うと、目的の本も見つけたのだが、他の本も読み漁ることにした。まあ、何、男のロマンっていうか? 大事だよね? ……………違いますね、ごめんなさい。



「これ、イラストいい感じだな……………」



 イラスト良ければ衝動買いしちゃう派っす。イラストで全てが決まるのでは……………!? …………中身も重要だったわ。作家さんに感謝。ははーっ。



「………………あれ? 水樹」



「…………………ん?」



 この声、すごい聞き覚えあるんですけど。振り向きたくない。……………よし、このまま立ち去ろう。なーに、明日問い詰められたら難聴だから分からなかったとか言ってかわしときゃオッケー。



「待って」



 がしっと肩を掴まれてしまった。力強っ。……………仕方ない。



「さ、沙弥、こんなところで出会うなんて偶然もあるもんだな」



「………………気づいてたんだ」



「…………………あっ」



 墓穴を掘ってしまった。後ろを振り返ると、沙弥は頬を膨らませて拗ねていた。……………不覚にも小動物みたいで可愛いとか思ってしまった。…………他意はないぞ? ホントに。



「……………水樹、それって…………」



「ああ……………知りたい?」



「知りたいっ」



 めっちゃ、食い気味ですやん。そんなに知りたいの? 仕方ないな、教えてしんぜよう。……………自分のキモさ加減に引くわっ。



「これはラノベって言ってですね、軽い小説なんすよ」



 和訳しただけやん…………説明になってねー…………。……………キモオタ言われたら、軽く死ねる。覚悟っ。



「奇妙な敬語になってる…………。っていうか、私もそれくらい知ってる。そうじゃなくて、タイトル見せてってこと」



 ……………知ってんの? 結構意外なんだけど。てっきり、犬がいっぱい載ってる本とか眺めてる人とか思ってた(偏見)。



 俺は沙弥に持ってた本を渡す。今日の例の新刊である。



「『俺とあいつは親友だけど、いつかは』だ……………! 私も読んでる……………これ、面白いけど、切ないよねっ…………!」



「まじで………………沙弥先輩も読んでんの?」



 ま、まさか……………こんな近くに同志がいたなんて…………キランッ。まあ、同志っていうのは大袈裟だが、同じ本を読む人がいたっていうのはちょっと嬉しいかもしんない。……………それがたとえ沙弥でも。



「うん。一応、全部揃ってる。今日はその新刊を買いにここにきた」



「へぇーそうなんだ」



 頷く俺。



「あ、そうだ。ここで立ち話もあれだし、本買ったらちょっとカフェでも寄ってこ。行きつけのところが近くにあるから」



 ………………急すぎませんか、沙弥さんや。

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