あいきゅー
「あっ!そーのーまーえーにー!!」
セラが来るっと振り向いて満面の笑みで笑った。
「テスト!しよっか!」
「テスト…?」
「魔法の属性と頭脳解析だよ。魔法の属性はこっちの世界特有だから、君がもといた世界にはないんだけど。」
「ずのうかいせきっていうのはあったのか?」
「やり方は違うけど似たようなのがあったって前の勇者は言ってた。じゃこっち!」
セラがズンズン前を歩いていくので、俺は急いで付いて行った。
歩いているうちに辿り着いたのが…
「な、なんか怪しい場所だな…」
「魔法研究会の研究室だよ。変な場所だけど気にしないで!」
(気にしないでって言われても……)
扉には謎の植物が絡んでおり、足元に紫色の煙が漏れてくる。怪しい…。
「いっいいいぃぃらっしゃぁい!!セ、セェェラ様ぁ!」
ギョロっとした目に高身長で、緑の髪の男が出てきた。真っ黒い服を着ている。
怪しすぎる……。
「ジンジャーさん、こんにちは!この人の属性と解析をお願いします!」
「セェ、セラ様のじゃないんでぇすねぇぇ。焦りまぁぁしぃた。」
「焦る?なんでだ?」
「えっ、えぇぇえ勇者さぁまぁは聞いてないんですかぁ???」
「何を。」
「私最初に言ったよ?」
「セラァ様のこぉぉとだからぁ、『頭がいいんダァ』ぐらいにしか言ってなぁいんでしょおぉ。勇者様ぁ、セラ様はぁ、この国で一番頭の良いお方ぁです。
本来いぃセラ様は、ちゅ、ちゅぅう中流貴族ぅでぇすが、その知識の量ぉを買われて、ぉ王妃さぁまの、養子ぃとなられぇていますうぅ。」
え、それって…セラは……王女!!?
どうすんだ、呼び捨てしてたぞ俺……。
「セラ様のぉ頭の良ぉさはすさまじぃぃぃものでぇしてぇえ、頭脳解析のときぃぃ…」
「ちょっ、もういいから!勇者様の解析しよ!!!!」
「は、はいぃぃぃ……。」
…何があったんだ……セラ様、怖すぎ…!
「説明ぃをしまぁすと、頭脳ぅ解析というのぉは、考えてぇいる事をぉ、魔法を使って読み取る事でぇす。
考えてる事と言ってぇも、ハッキリ分かる訳ではぁなくぅ、良い事かぁ、悪いことかぁ、考えることのぉ系統が、ぼぉんやりぃ分かるだけですぅ。
普通ぅ、一人の人を測るのにぃ魔導士一人ぃで事足りますが、複雑な事をぉ考えている時やぁ、頭がいい人に対してはぁ、魔導士一人じゃ足りなかったりぃぃしまぁす。」
「勇者様には今回三人つけてみるよ。用心深すぎるとは思うけどね!」
「なるほど……。」
思考がバレるのは少し怖いな、まだこいつらを信用しきってる訳じゃないし…。まぁ、複雑なことはバレないみたいだし大丈夫か……?
「そぉぉれでぇは、この杖ぇを強く握ってくださぁぁい。皆さん、おぉ願いしますぅ。」
「はい。」
三人の魔導士が一人一本ずつ棒を取り出すと、握って目を瞑った。
「その杖とぉ、同化していますぅ。杖が光ったら握ぃってくだぁさい。」
三人の棒と渡された棒がうっすら光を放ち始めた。ぐっと握る……。
あ……なんか…意識が……吸い込まれ……て…………
バタバタバタッ
えっ?
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!勇者様もでぇぇえぇすかぁぁぁ!!!?」
「あはははははは!!」
目の前には三人の魔導士が転がっていた。セラが大爆笑して、ジンジャーはオロオロしている。
えっ? どういうことだ?