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66、人間


「ルールア!!痛ぁっ!?」


ガバッと起き上がった私の目の前に誰かの顔があり、私は盛大にぶつけた額を押さえて涙目になる。


「い、痛い…!ハッ!ア、アルマ!良かった!目が覚めたんだな!!」


どうやらそれはマグリだったらしく、同じく額を押さえながらすぐに顔を上げた。


マグリが居るって事は…ここは自分の部屋?

じゃあ、ルールアとはもう…


最後に見たルールアの顔を思い出した途端、私の目から大量の涙が溢れる。


そのままシーツを頭までかぶりベッドの中に引っ込むと、私は声を上げて泣いた。


「アッ、アルマ、どうした!?どこか痛いのか!?」


「どうした!?あっ、アルマ!!戻ったのか!!」


そこへイドラもやって来て私のベッドに登ると、泣き続ける私にオロオロする。


二人に必死に宥められるが、涙が止まる事はなかった。


ルールア、ルールア…

もうあなたに会えないなんて。

どうして、私も一緒にいきたかった。


優しく名前を呼んでくれた姿を思い出し、悲しみで胸が押しつぶされそうになっていると、ふいにリーヴス殿下の顔が頭を過ぎる。


そうだ、リーヴス殿下…

大丈夫だったかしら。

いくら殿下がルールアの生まれ変わりだとしても、あんな怪我をさせたんだもの…合わせる顔がないわ。


もう、ルールアにもリーヴス殿下にも会えないのだと思うと、私の心が冷たくなっていく。

女神でなくなってしまったから、ライナお兄様とラーシュ達がどうなったのかも分からない。

それに、ギルダお兄様と双子達も…

私だけ無事で、他の皆を傷つけてしまった。

そう思うと、いくらルールアの願いとはいえこのまま一人だけ何事もなかったように生きていくのは嫌になってしまう。


泣き声が止み動かなくなる私に何を思ったのか、マグリがシーツを剥ぎ取った。


「アルマ!」


そのままベッドの上で抱き締められると、マグリの焦ったような顔をぼうっと眺める。


「アルマ、しっかりしろ!何で、こんな…!イドラ!アルマの魂は無事なのか!?」


アルマに呼ばれてイドラも私の顔を心配そうに覗き込んだ。


「魂は戻っているが、よほどショックな事があったのだろう。かなり憔悴している。アルマ、ここには俺達がいる。安心しろ。」


イドラの言葉に私の頬が再び涙に濡れたが、マグリがそれを優しく拭う。


とても一人でなんて居られなくて、私をベッドに寝かせようとするマグリをそのまま引きずり込み、ぎゅうっと抱き締めたまま離さなかった。



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