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63、真実


私とライナお兄様が天界に戻ると、ラーシュがライナお兄様の神殿の前に立っていた。


「アルマリージュ、良かった…」


「ラーシュ…」


安堵したように微笑むラーシュを見て、私はじわりと涙が滲む。


あぁ、ラーシュがライナお兄様を呼んでくれたんだわ。


私はすぐにラーシュに抱きつくと、ぎゅうぎゅうとラーシュを抱き締めた。


「ありがとう、ラーシュ…!」


「礼を言われる程の事はしていない。アルマリージュに悲しい思いをさせたくないだけだから。」


ラーシュと二人抱き合っていると、ライナお兄様が焦ったように私達の肩に手を置く。


「ここであまり長く話しているとリウグレット様が感づく。神殿の地下室へ移ろう。」


そう言ってライナお兄様は私とラーシュを急いで自分の神殿の地下室へと転移させると、何やら床に魔法陣を発動させ部屋の中に結界を張った。


「この結界はあまり長く保たないんだ。いつリウグレット様に気付かれ乗り込まれるか分からない。だから、手短に話すよ。」


私はいまだにラーシュの腕の中に居たものの、緊張から離れる事が出来ずそのまま頷く。


「アルマリージュ、ルールアの事を思い出したんだね。ルールアの記憶はリウグレット様が封じていたんだ。アルマリージュを自分のものにする為に。」


ライナの言葉に目を見開くも、ライナは構わず話を続けた。


「ルールアはね、リウグレット様に騙され、数百年前に発生した大規模なスタンピートを抑える生贄にされたんだ。神の肉体は魔を封じるのに優れた媒体になるからね。ちょうど、アルマリージュと一緒になる事が決まってすぐだった。」


「は…な、何…で…」


動揺して力が溢れそうになり、それをラーシュが強く抱き締める事で封じる。


「ルールアは、アルマリージュが魔物の討伐に向かったが、苦戦して重傷を負ったと聞かされたんだ。それを助けに向かい、生きたまま魔物ごと封印されてしまった。」


あまりの話に胸は張り裂けそうに痛み、涙が溢れた。


生きたまま封印の媒体にされるなんて、どれだけ辛いだろうか。

きっと意識はしばらくそのままで、魔物が蠢く闇の中狂ってしまってもおかしくない。


私が震える手でラーシュの胸元を掴んでいると、ラーシュは私の背中を優しく撫でる。


「それでもルールアは君の事をずっと想っていた。だから、無意識に肉体を捨て、最期の力を振り絞り魂を転生させたんだ。でも、神に戻る程の力は無く、人間に生まれ変わってしまった。しかも、封印は魂を失い力が弱まってしまってね。そこでリウグレット様が記憶を消したアルマリージュを連れ封印を確認しに行った所、アルマリージュが居る間だけは封印の力が強まったんだ。だから、リウグレット様は渋々アルマリージュを人間へと変え、あの地へと派遣していたんだ。神界の男神から遠ざける為にもちょうど良かっただろうしね。」


そう言ったライナは罪悪感に満ちた顔をしていて、私はルールアの事を忘れていたのは自分だけだったのかと悟った。


あぁ、だから私はあの地を出る事を自然と厭っていたのか。


私はストンと全てが腑に落ちて、途端にルールアが恋しい気持ちが強くなる。


「ライナお兄様、リーヴス殿下はルールアの生まれ変わりなのでしょう?私をルールアの元に帰して下さいませ。」


涙声で訴えると、ライナは眉間に皺を寄せて首を横に振った。


「ルールアはね、もう何度も無意識にアルマリージュを引き留める為、転生を繰り返している。ルールアの魂と肉体は別々になってしまったけれど、その魂は少なからず神の神気を纏っていて、封印を抑える事に影響を及ぼしていたんだ。でも転生を繰り返すうちに魂の神気は薄れ限り無く人間に近付いてしまった。そうなればまたスタンピートが起こり、地上は危険な状態になる。そんな場所へアルマリージュを連れて何て行けないよ。」


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