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59、マグリ


「…絶対おかしい。」


「は?」


医師と研修医が去ったアルマの寝室で、ドラゴンと二人俺は再び眠りについてしまったアルマをじっと見つめる。


アルマが再び深い眠りについてしまった時、慌てて駆け付けた医師は

「まだ完全に回復したという訳ではありません。こうして眠りにつかれると言うことは、無理をなさってしまったのでしょうな。しばらく様子を見ましょう。」

と説明した。


だが、揺すっても起きない程深い眠りにそんなに何度も落ちるだろうか。


それに一緒に来た研修医についても、最初来た時は僅かではあるがどこか焦っている様子が見られたものの、今日は至って冷静に医師の後ろに控えていた。


「…なぁ、確かにアルマは病み上がりで王都まで転移するなんて無茶をしていたが…こんなに目覚めないのは不自然じゃないか?」


俺の言葉にドラゴンは何かを考える様に下を向き、「アルマから直接話して貰えるまで待つつもりだったが…」と前置きした上で話し出す。


「アルマは、俺様達にまだ何か隠しているな。でなければ、転移や言語の魔法などいくら魔術師とは言え人間が使用出来る筈がない。それに、お前は契約していないから分からないかもしれないが、アルマの魂はここには無い。息はしているが、これは肉体だけの状態だ。魂が無いのだから、揺すって起きる筈がない。」


ドラゴンの言葉に俺は目を見開き、急いでアルマの肩を揺すった。


しかしアルマは静かに寝息を立てるばかりで俺の行動には少しも反応などせず、穏やかに眠り続けるばかり。


俺は焦って今度はドラゴンに詰め寄った。


「おい、魂が無いってどういう事だよ!アルマは無事に帰ってくるのか!?」


このままアルマが帰って来なくなるのではという不安から思わず声を荒げると、ドラゴンはムッとしたように俺を睨む。


「そんなの俺様が分かる訳無いだろう!だが俺様達にはどうする事も出来ない。ただアルマの魂が戻って来るのを待つしかないんだ。」


「くっ…そんな…」


今の俺はアルマが全てで、アルマの為に生きているようなものだ。


アルマが居なければ、俺がここにいる意味が無くなってしまう。


「アルマ…早く、早く戻ってきてくれ…」



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