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10、ナガリア国


「ふふ、アルマ。可愛い。」


私は現在、ソファーの上でリーヴス殿下の膝に抱えられている。


何を勘違いしたのか、リーヴス殿下は私と相思相愛であると勝手に認識してしまったので、とにかく機嫌良く私を愛でまくっていた。


「あの…リーヴス殿下、それで何か大事なお話があるのでは無かったですか?」


私はリーヴス殿下から少しでも距離を置こうと身体を逸らせながら、ソファーに座る前の

「そう言えば、アルマに話しておかなきゃならない事があるんだった。」

と言うリーヴス殿下の言葉を引っ張り出す。


まぁリーヴス殿下の大事な話など私に取って碌なものでは無いだろうけど、今のこの状況から少しでも逃れられるのなら是非話して頂きたい。


「あぁ、そうだね。実は一週間後に隣国のナガリア国から王太子と婚約者が来訪する予定になっているんだけど、バーランド王国側は私とアルマが中心になって歓待しようかと言う話になっているんだ。私達は年齢も近いし、両国の友好も深まるだろうと陛下達も仰っている。」


ええー…まだ婚約者でも無いのに何で私が…。


そう思いながらもナガリア国は気になる国の一つでもあるので悩んだ。


ナガリア国では王族と、稀にではあるが貴族から異能の力を宿した者が生まれてくる事がある。

今の王太子の力は確か炎の属性だったと思うが、婚約者の力が何なのかはまだ公に明らかにされていない。


魔法が廃れてしまった今世では異能の力は異端と忌避される事もあるが、私から言わせれば貴重で素晴らしい力だ。


それを間近で見れる滅多に無い機会…逃す手は無いだろう。


「…殿下、でも私はまだ婚約者では無いのですよ?そんな者が隣国の王太子様と婚約者様のお相手をするなど宜しいのですか?」


まぁお相手する気満々ではあるが、念の為聞いてみる。


「いいに決まってるよ、表向きはアルマは婚約者として紹介するつもりだしね。あぁ、いいね、アルマと公務か…結婚すればこれが当たり前になるのかと思うと嫌な公務も楽しみで仕方無くなるな。」


「…」


後半の話はどうでもいいとして、正式に決まっても居ないのに私を婚約者として紹介してしまおうとするリーヴス殿下の気の早さに目眩が起きそうになった。


「それは…きちんと“婚約予定”としてお伝え下さい。隣国に妄言を吐くなど、断じていけません。」


「妄言ではないよ。まだ正式に認知されて居ないだけで、内定はしているのだから。しかし、そうだね。国に対して虚偽と捉えられかねない事は避けた方がいいかもね。アルマは冷静で頼もしいな。」


リーヴス殿下は私の事になると本当普段が嘘みたいに浮かれちゃうんですね!


取り敢えず一週間後に向け色々と準備もある為、私は自分の部屋への案内とスケジュールの確認をお願いする。


ところが部屋はリーヴス殿下の隣の部屋が用意されており、私は案内されてすぐに悲鳴を上げたくなった。


ここってば王太子妃の部屋じゃないの…!!

外堀!!外堀の埋め方がエグ過ぎて引くレベル!!


そして、そこから毎日ナガリア国からの歓待準備の為、しばらくはリーヴス殿下も忙しくなり、私も黙々と打合せやナガリア国についての勉強などをこなしていく。


そうして満を持してやってきた初日。


多忙であまり会えずにフラストレーションが溜まったリーヴス殿下が、この日の為に着飾った私に興奮するのを何とか抑え込みつつ、ナガリア国のサブド王太子と婚約者のニルリル様を出迎えた。



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