表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

主達の物語

主の談話

作者: 狗須木

「滝の」


「…………なぁに、空の。あたし、寝てたんだけど」


「新しい子が生まれたよ」


「ふぅん、よかったじゃない。で、それがどうかしたの?」


「湖なんだ」


「あら、そう。いいところね」


「そうだね」


「ええ」


 ◆


「滝の」


「なぁに、空の。また来たの?」


「湖の子のことでお願いがあるんだけど」


「いやよ」


「滝と湖って似てるよね」


「全然」


「これも縁だと思って」


「無理」


「話くらい聞いておくれよ」


「やだ」


「そこをなんとか」


「よそに行きなさいよ」


「そんなあ」


 ◆


「滝の」


「いやよ」


「まだ何も言ってないよ」


「あんたの相手ができるやつなんていないわよ」


「みんなそう言うんだ」


「当然よね」


「そんなあ」


 ◆


「滝の」


「お引き取り願おうかしら」


「冷たいなあ」


「あんたみたいにフラフラできるやつなんていないのよ」


「みんなそう言うんだ」


「当然じゃない」


「そうかなあ」


 ◆


「滝の」


「しつこいわね」


「湖の子がね」


「またその話?」


「人里に移った」


「ふぅん」


「二百三歳だ」


「そう」


「若すぎる」


「そうかしら」


「先代は三百四十五歳だった」


「へえ」


「どうしよう」


「知らないわよ」


「…………どうしよう」


 ◆


「滝の」


「何よ、空の」


「戦争だ」


「ふぅん」


「人間と湖の子が戦っている」


「へえ、すごいじゃない」


「このままだと湖の子が殺される」


「それがその子の運命ってことよ」


「どうしよう」


「放っておきなさい」


「…………どうしよう」


 ◆


「滝の」


「何よ、空の」


「湖の子が」


「今度はどうしたのよ」


「死んじゃった」


「そう」


「あっけなさすぎる」


「そうね」


「まだ二百四歳だった」


「そういうこともあるわよ」


「可哀そうだ」


「そうね」


 ◆


 ◆


 ◆


「滝の」


「…………なぁに、空の。あたし、寝てたんだけど」


「新しい子が生まれたよ」


「ふぅん、よかったじゃない。で、それがどうかしたの?」


「湖なんだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ