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元科学者の魔法世界転生物語  作者: あけいち
2/7

2話 「エリカ=エルブライト」

修正版です。

 

 父が放った火の玉が魔法だと認識できたのは2歳になってからだった。

 というのも2歳になるまで喋ることができなかったのだ。


 喋れるようになってからは父にこの世界のことを教えてもらった。

 この国、世界の成り立ち、そして魔法...

 様々なことを教えてもらい、父というよりは教師に近い尊敬の念を抱いていた。


”””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””


 私は父に連れられて森の中にいた。

 森の中のことを教えてくれていたのだ。


 そんな折、一匹の動物が森の奥からやってきた。

 牛のような形をした斧を持った動物だった。

 父は顔面蒼白になったかと思うと「魔物だ!逃げるぞ!」と叫び、私を抱えて走った。


 ミノタウロスについてはすでに聞いていた。しかしこの森で現れることはまずないと聞いていたのだ。


 父は荒れた道を全速力で駆け抜けた。

 しかしただの農民が不安定な森の中を10キロを優に超える荷物を抱えて長く走れるわけもない。

 次第に足をもつれさせ、やがて転んでしまった。


 「お前は逃げろ!俺は食い止める!」

 「嫌だ!父さんも逃げて!」


 しかし現実は非情である。ミノタウロスが私たちに追い付いてしまった。

 「セントレル」

 「父さん!嫌だ!一緒に行こう!」

 私は本当に彼の子供だと、そう感じていたのかもしれない。駄々をこねる子供のように、父を呼び止める。

 「母さんと強く生きるんだぞ。大好きだ」

 そう言い残し、落ちていた木の棒を片手に呪文を唱え始めた。

 

 父を死なせたくないのは山々だった。しかし今自分がどうこう出来るわけでもなく、ただ「この人が命を懸けて守ってくれたんだ。この人の分も生きなくては」という思考に至った。


 私は逃げた。後ろを振り返ることもなく、ただまっすぐに。


 

 父と別れてから数分後、災難はまだ続くと言わんばかりに魔物に遭遇した。狼だった。


 数分間全力で走っていたせいもあり、私は満身創痍の状態だった。

 「これは逃げられないな...」

 そんなつぶやきが虚空にこだまする。

 狼が私のところへ駆けてくる。


 その時だった。


 「諦めたら終わりよ!シャキッとしなさい!」

 そんな声と同時に目の前の狼が火に包まれる。


 振り返るとそこには自分と同じくらいの少女が立っていた。


 エリカ=エルブライトと出会ったのであった。

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