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爆縮と体温の機知(1)

消夢アレルゲン

夢の服を着ている

笑顔のあの子は

昨日

夢が破れた

今日の顔は見ていない

僕まで

なんだか

いつも通りが

変わってしまった



明日になれば

元気になるだろうと

赤の他人である僕は

いつも通りに努め始める

場合によっては

そのまま忘れるのだろうか

僕のいつも通りから

省かれるみたいに

同僚の話を聞きながら

通りを見て

くしゃくしゃの黒いティシュが

胸の隙間に増えて行く



次の日も次の日も

僕のいつも通りは

変わったままで

月曜日から月曜日になれば

既に薄れている

変わったいつも通りは

既存のいつも通りになり

あの日

あの子から見た夢は

現実世界から消えて行くよ



寒い風が強い

薄明かりの帰り道

時計と太陽が

喧嘩したみたいに

早々と夜を

連れてくるから

首元を隠して

負けないようにした

抗える日は元気がある時

背景の色を

注視しながら

感覚を研ぎ澄ませている

人間は鋭くなれることを

忘れないように



夢の服を着ていた

俯いたあの子は

今日

通りを歩いている

昨日までの顔は想像できた

僕は

なんだか

掃除をやめて

ただの挨拶を交わした



明日になっても

そのままだろうと

赤の他人である僕は

掃除の続きをし始める

場合によっては

そのまま消し去るのだろうか

あの子のいつも通りから

省かれるみたいに

後ろ姿を見送りながら

時計を見て

もじゃもじゃの黒いラインが

胸の隙間に絡まって行く



次の日も次の日も

あの子のいつも通りは

変わったままで

四月から十二月になっても

そして

今も濃いままだった

変わった筈のいつも通りは

抵抗するいつも通りになり

あの日

あの子から見た夢は

現実世界にしがみついているよ



諦めない人に

心が動くのは

その姿が

途轍もなく無様だから

それで良い それで良い

目の前から

消えそうな時に

思うことは

スマートさじゃない

他には何も要らないから

それをください

真っ白な

雪のように

ただ それだけ

想うのです

願ってしまうのです

無様な姿で

一言を口にするのです


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