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凍える唇

作者: 石田 幸

寒くて凍えそうな私を早く温めて。

「ねぇ、何か怒ってる?」

「別に…」


ーまただー


あなたの口癖。「べ・つ・に」一音ずつ唇でなぞる。

この一言を耳にする度、私はすっと凍りつく。


どんなに愛されても。

どんなに愛しても。


一瞬にして心が()てついてしまう。

あなたは何時(いつ)も、たった一言で私を突き放す。


「何で…」

後の言葉が口をつく前に、熱い唇で口を塞がれる。

あなたの一言で凍りついた私は塞がれた唇から熱を吹き込まれて(よみがえ)る。

「あぁ…また…」

私はこうしてまたあなたに堕ちてゆく。


繰り返される問いかけ。

終わらない愛撫。


そうして、あなたは何時(いつ)も私を凍らせる。


さっきまであんなに熱かったのに、私は冷たくなったしとねに横たわり、あなたの居ない部屋にうずくまる。


此処はまるで冷たい海の底みたいだ。



青白い月に照らされて、水底で凍りついた私はまた、あなたに溶かされるのをじっと待っている。


「別に」という一言から生まれた小品です。


たった一言がナイフのように突き刺さることもある。

そんな愛もある。


ご一読ありがとうございました。

作者 石田 幸

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何だかすごく艶っぽい作品でした。ずるい男なのに、どうしようもなく相手の魅力にがんじがらめにされている感じ。言葉のチョイスも絶妙ですごく引きこまれました。
[一言] 私もよく「別に」と言ってしまいます。特に親しい人ほど。しかし、それはある種の「甘え」かもしれないと思いました。
2018/04/14 20:33 退会済み
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