表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

「キカイの国」

「ようこそキカイの国へ。オサダ様ですね」

 キカイの国の入国ゲートを通るとすぐに、ボウズ頭でひょろりとした体つきの青年に声をかけられた。

「あ、はい。オサダ・シュンです」

「ようこそいらっしゃいました、オサダ様。私はここキカイの国でのオサダ様のパートナーを務めさせていただきます、イッキュウと申します。どうぞよろしく」

 キカイの国へ渡ったヤマイ患者には、一人につき一体のアンドロイドがパートナーとしてつく。パンフレットで読んでいた通りだ。

 しかし、ぼくは少し驚いた。このイッキュウというアンドロイドは人間にしか見えない。ニンゲンの国のそれとは大きく違って見えた。

 それにいくらパートナーアンドロイドとはいえ、十二歳のぼくを相手にこんなに丁寧に話すなんて不思議な感じがする。


 ぼくを送ってきた係の人がイッキュウに書類とICチップのようなものを渡す。こんな時代になってもまだ、紙の書類というものは必要なのだそうだ。

 イッキュウは書類の一枚目にだけ目を通し(おそらくそこに記載してあったコードを読み取り)、「はい、確かにオサダ様をお預かりしました」と答えた。

 係の人はそのまま出国ゲートに向かっていった。



「長旅でお疲れでしょう。今日はもう居住スペースでお休みになりますか?まだ荷物は届いてはいないと思いますが、ベッドなど必要なものはそろっていますよ」

 ありがたい提案だけど、ぼくにはやりたいことがあった。

「今日はその前に街に行ってみたいんですけど、いいですか?」

「もちろんです。オサダ様がそうしたいのであれば」


 街を歩いてみると、イッキュウのようなアンドロイドは少数派なのだと分かった。つまり、明らかに人間でないと分かるアンドロイドのほうが多いのだ。やけにメカメカしかったりサイズが大きかったり、そもそもすべてのアンドロイドが人間に似せるということを目的として作られているわけではなさそうだ。また、アンドロイドではないロボットも多く見られる。

 たまに人間にしか見えない人に出会うが、アンドロイドなのか人間なのかをどうすれば見分けられるのか、ぼくには分からない。


「それで、オサダ様。どこか行ってみたいところはございますか?」

 イッキュウに声を掛けられて、慌てて振り向く。

「えっと、実は探したい人がいるんですけど」

「探したい人、でございますか?」

 イッキュウが眉をぴくりと動かす。

「それならばいいところがございます」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ